研究課題
1)アミロイド病変リガンドの開発:タウ病変のPETリガンドとして、現行リガンドである[11C]PBB3の問題点を明らかにした。具体的には、PBB3が生体に投与後速やかに代謝され、代謝物が脳に移行することを見出した。そこで新たなリガンド動態解析モデルを開発し、代謝物が脳移行してもタウ病変の定量が可能になった。また、これまでは小脳を参照領域としてリガンド動態解析を行ってきたが、リガンド結合が低いボクセルを集めて参照領域を作製する新たな定量法を確立し、小脳にタウ蓄積が起こる病態でも病変の定量評価が可能になった。PBB3の主要代謝物は水酸基が硫酸抱合を受けた物質であることも判明し、この水酸基を別の側鎖に置き換え、さらに18Fを付加した改良型タウリガンドを複数作製した。11Cよりも半減期の長い18Fで標識されることから、改良型リガンドは普及性の向上も見込まれた。インビトロのスクリーニングに基づき、2種類の候補化合物をモデルマウスのポジトロン断層撮影(PET)と、ヒト脳切片のオートラジオグラフィーなどにより詳細に評価した。その結果、改良型プローブは[11C]PBB3を上回る脳移行性を示すことが明らかになった。2種の化合物のうち、1種は毒性試験を終え、ヒトへの応用の準備が整った。2)グリア細胞受容体リガンドの開発:炎症性ミクログリアで増加するトランスロケータータンパク(TSPO)のPETリガンド開発を、インビボ評価を中心として実施した。新規リガンドである[18F]FEBMPが、アルツハイマー病モデルであるアミロイド前駆体タンパクトランスジェニックマウスや、タウタンパクトランスジェニックマウスの神経炎症を、既存のPETリガンドを上回るコントラストで検出することを、これらのモデルマウスのPETイメージングにより明らかにした。[18F]FEBMPはサルのPETでも良好な特性が証明され、ヒトへの応用が可能であることが示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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