研究課題
本研究では、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)での骨格筋線維内のタンパク質蓄積のメカニズムを探ることを目的としている。DMRVマウスにおいては骨格筋線維内のタンパク質蓄積物は微小管に沿って存在し、電子顕微鏡レベルでは、不定形のタンパク質性封入体とそれを取り巻く自己貪食空胞と一致していた。これらの封入体や自己貪食空胞内はアミロイド陽性であった。今年度は、昨年度にひきつづき骨格筋特異的なオートファジー不全マウスを用いて、骨格筋の表現型解析を行った。骨格筋特異的なオートファジー不全マウスの骨格筋は、p62が多量に蓄積し、ポリユビキチン、シャペロンタンパク質も陽性であった。この蓄積はマウスの週齢とともに増加して言った。この蓄積と関連して、骨格筋の収縮力低下および骨格筋の萎縮の進行が見られ、この骨格筋内でのタンパク質蓄積は、骨格筋の機能低下を引き起こしていることが明らかとなった。また、DMRVマウスでの骨格筋内蓄積タンパク質の解析として、蓄積物に対応して、新たにリン酸化p62抗体にて、p62よりクリアな染色像を取得することに成功し、また、HSP90などのシャペロンタンパク質、さらにリン酸化した翻訳開始因子が、このタンパク質封入体に一致して存在していることを見いだした。このことは、DMRV骨格筋において蓄積タンパク質が、細胞内のストレス応答機構によって認識され、かつ翻訳系の停止と関連していることを表しており、異常タンパク質の骨格筋内蓄積においても、神経変性疾患などで提唱されているような応答経路の存在を明らかにすることが出来た。さらに、DMRVマウス中枢神経系で、このようなタンパク質の蓄積が存在するのかを解析したが、同マウスの脳内には、全くタンパク質の蓄積は認められず、組織学的な変化も見い出されなかった。この結果はDMRV患者において、知能が正常に保たれていることを支持するものであった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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