• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

DNAメチル化に着目したメタボリックメモリーの分子機構の解明と医学応用

研究課題

研究課題/領域番号 23390240
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

小川 佳宏  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70291424)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードDNAメチル化 / エピゲノム / 肝臓 / 脂肪合成
研究概要

多くの疫学調査により、胎生期の栄養環境が成人期に発症する肥満やメタボリックシンドロームに関連する可能性が指摘されている。一方、胎生期のみならず個体の成長が著しい新生児期も全身臓器の可塑性が高い時期であり、離乳前後の急激な栄養環境の変化がエピゲノムに記憶され、成人期の疾患感受性を決定する可能性がある。本研究は、従来全く知見のなかった新生児期の肝臓におけるde novo脂肪合成のエピゲノム記憶の分子機構の解明を目指す新しい試みである。具体的には、マウスの新生仔期にプロモーター領域のDNAメチル化と遺伝子発現が変動する肝脂肪合成酵素を同定し、成獣期に発症する肥満やインスリン抵抗性あるいは脂肪肝との関連を検討するものである。本年度までの研究により、新生仔期の肝臓では、新規DNAメチル化酵素Dnmt3bにより肝脂肪合成の律速酵素グリセロール3リン酸アシル基転移酵素(GPAT1)遺伝子プロモーター領域がDNAメチル化されることにより転写因子SREBP-1cのリクルートが阻害され、GPAT1の遺伝子発現が誘導されず、一方、離乳期には脱メチル化されてSREBP-1cがリクルートされるようになり、GPAT1の遺伝子発現が誘導され、脂肪合成が行われることが判明した。すなわちGPAT1遺伝子発現と肝臓脂肪合成はDNAメチル化により制御を受けることが示唆された(Diabetes 61: 2442-2450, 2012)。DNA脱メチル化の分子機構の解明は今後の課題であるが、過栄養にした母マウスより産まれた仔マウスを用いた検討により、少なくとも一部は栄養環境の影響を受けるものと考えられた。今後、DNAメチル化の網羅的解析法であるMIAMI法を用いて新生仔〜成獣マウスの肝臓サンプルについてDNAメチル化と遺伝子発現の網羅的な解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は動物個体を用いたin vivoの解析と培養細胞を用いたin vitroの解析の両者を施行している。動物個体の実験は、ほぼ予定通り進行している。一方、in vitroの解析は当初の計画以上に進展している(Diabetes 61: 2442-2450, 2012)。本研究課題の成果は英文誌に掲載されており、全体としては概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

本研究課題は、当初の研究計画に関して現時点で特に変更はない。今後、着実に成果を報告していきたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Role of DNA methylation in the regulation of lipogenic glycerol-3-phosphate acyltransferase 1 gene expression in the mouse neonatal liver2012

    • 著者名/発表者名
      Ehara T, Kamei Y, Takahashi M, Yuan X, Kanai S, Tamura E, Tanaka M, Yamazaki T, Miura S, Ezaki O, Suganami T, Okano M, Ogawa Y
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 61 ページ: 2442-2450

  • [雑誌論文] エピゲノムと糖尿病2012

    • 著者名/発表者名
      亀井康富
    • 雑誌名

      最新医学

      巻: 67 ページ: 27-31

  • [学会発表] 肝臓における脂質代謝のエピゲノム制御2012

    • 著者名/発表者名
      小川佳宏
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121211-20121214
    • 招待講演
  • [学会発表] 栄養環境がもたらすエピゲノム変化2012

    • 著者名/発表者名
      小川佳宏, 亀井康富
    • 学会等名
      第6回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120514-15
    • 招待講演
  • [図書] 栄養とエピジェネティクス-食による身体変化と生活習慣病の分子構造-2012

    • 著者名/発表者名
      亀井康富
    • 総ページ数
      141
    • 出版者
      健帛社
  • [備考] 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 分子内分泌代謝学分野

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/grad/cme/index.html

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi