研究概要 |
【背景】我々は2型糖尿病モデルであるOLETFラットを用いて内臓脂肪に発現上昇を認める遺伝子vaspinを同定した。【目的】Human Vaspin RIAキットを用いて、日本人健診者(n=259)および2型糖尿病患者(n=275) の血中濃度を測定し臨床データとの関連を検討した。さらに肥満者を含む様々なBMIを有する日本人(n=1177)を用いて遺伝的解析を行った。【方法】Human Vaspin RIA測定系を確立した。さらに日本人vaspin遺伝子のSNPs (Single-Nucleotide Polymorphisms)を同定し血中vaspin濃度との関連を検討した。 【結果】日本人健診者、2型糖尿病患者のいずれもVaspin血中濃度は0.5-3 ng/mlであったが、約7%において、血中濃度が10 ng/ml以上の著しい高値を示した。血中濃度3 ng/ml以下で検討すると、健診者に比べ2型糖尿病患者では有意に高値であった (0.99 ± 0.04 ng/ml v.s. 0.86 ± 0.02 ng/ml; p<0.005)。2型糖尿病患者においてvaspin血中濃度はBMI、皮下脂肪面積、HOMA-IR、高感度CRP、leptinと相関を認めた。日本人においてvaspin高値に関連するSNPであるrs77060950を同定し、CC (0.6 ± 0.4 ng/ml), CA (18.4 ± 9.6 ng/ml), AA (30.5 ± 5.1 ng/ml)とvaspin血中濃度を規定していることが判明した。【結論】Vaspinは2型糖尿病患者において肥満度、インスリン抵抗性、慢性炎症と関連している。また日本人において10 ng/ml以上のvaspin血中濃度を規定するのはrs77060950であることが明らかとなった。
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