研究課題
【目的】バスピンによる小胞体ストレス制御を介した動脈硬化抑制作用を明らかにする。【方法・結果】ストレプトゾトシン誘発糖尿病Wistarラットの内頚動脈にバルーン擦過モデルを作製、バスピンをアデノウイルスで導入したところ内膜肥厚が改善された。さらにバスピンTgマウスにおける大腿動脈カフ障害モデルにおいても内膜肥厚が改善された。ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)からバスピン相互作用分子を探索したところ、小胞体ストレス関連分子の一つであるglucose regulated protein 78 (GRP78)を同定し両者の結合をpull-down assayにより確認した。Thapsigargin添加で小胞体ストレスを誘導するとGRP78が小胞体分画から細胞膜分画に移動することが知られているが、HAECをthapsigarginで処理することによってKd=0.565×10-9Mの高親和性結合を認めた。GRP78には疎水性膜ドメインがないが、細胞膜上のアンカープロテインであるvoltage-dependent anion channel (VDAC)と結合することが報告されている。バスピン/GRP78/VDAC複合体の存在を大動脈細胞膜分画を用いた免疫沈降法によって確認した。Kringle 5はGRP78/VDAC複合体のリガンドであり、細胞内Ca濃度の上昇と血管内皮細胞のアポトーシスを誘導するが、バスピンはKringle 5とGRP78/VDAC複合体との結合に競合し、細胞内Ca濃度の上昇と血管内皮細胞のアポトーシス誘導を抑制した。【総括】肝細胞や血管内皮細胞における小胞体ストレスによって細胞表面に移動したGRP78複合体にバスピンが結合し、細胞内シグナルや小胞体ストレスを制御することによってインスリン抵抗性や動脈硬化を改善すると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件)
Am J Physiol Renal Physiol
巻: 306 ページ: F105-F115
10.1152/ajprenal.00034.2013.
PLoS ONE
巻: 9(1) ページ: e85594
10.1371/journal.pone.0085594.
巻: 9(3) ページ: e92647
10.1371/journal.pone.0092647.
巻: 8(10) ページ: e77118
10.1371/journal.pone.0077118.
Int J Nephrol Renovasc Dis
巻: 6 ページ: 233-240
10.2147/IJNRD.S51829.
巻: 7 ページ: 25-33
10.2147/IJNRD.S54731.