研究課題
本年度は、①膵β細胞における甘味受容体の分子実体の同定、②膵β細胞ににおける甘味受容体リガンドの同定とその作用、③糖代謝における意義、④小腸GLP1産生細胞における甘味受容体機能の解析、⑤脂肪細胞における甘味受容体刺激の作用機構などについて検討を行った。まず膵β細胞においては、T1R3の発現がT1R2に比べて圧倒的に高く、またT1R2をノックダウンしても作用に変化が無いことから、T1R3ホモダイマーが機能していると考えられた。さらにこのT1R3ホモダイマーはグルコースに応答してミトコンドリアでのグルコース代謝を促進することが明らかになった。つまりインスリン分泌においてもっとも重要な刺激因子であるグルコースは,まず細胞表面の受容体(T1R3ダイマー)に働き,代謝を促進するとともに,細胞内に取り込まれて代謝を受けて作用を発揮することが明らかになった。このようにβ細胞の甘味受容体はβ細胞表面でグルコース感知受容体として機能している訳である。このグルコース感知受容体の発現は、空腹時には高く,一方食後3-4時間後には低下する、つまり食事や栄養状態に影響されて発現が変化する。さらに肥満や糖尿病のモデル動物ではその発現が著しく低下している。さらに糖尿病状態をインスリン治療により改善すると発現が回復することも明らかになった。小腸のGLP1産生細胞にもT1R3が発現している。この受容体を刺激すると細胞内Ca2+, cAMPの増加が見られるが,異なるリガンドを作用させると産生されるシグナルのパターンは異なり,極めて複雑なシグナル産生系をもつことが明らかになった。脂肪細胞においては,甘味受容体シグナルの活性化により分化が抑制される。この作用はGSを介し、チュブリン重合の制御を介していることが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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