研究概要 |
生活習慣病創薬の開発を目指し、アンドロゲンの抗メタボ作用を保持しつつ、前立腺刺激作用を認めない選択的アンドロゲン受容体修飾剤(SARM)・S42に関して以下の研究を行った。前年度研究も含め、非除睾B6マウスにおいて高脂肪食下で惹起した肥満、インスリン抵抗性に対し、S42 (10mg/Kg重量)の16週投与は食事摂餌量への影響を認めず、顕著な内臓脂肪減少効果と糖負荷試験におけるインスリン感受性改善効果を示した。機序として肝臓における脂肪合成系の低下、脂肪燃焼系の活性化を観察した(投稿準備中)。平成25年度はレプチン欠損肥満マウスであるob/obマウスにおけるS42の効果をコントロール群、DHT投与群を対比として検証した。その結果、S42の投与は、ob/obマウス群の体重にコントロール(オイル)群、DHT投与群と比較しても有意の影響を及ぼさなかった。一方、糖負荷試験ではコントロール群に較べ、30分における耐糖能の改善を認めたが、インスリン分泌能に関しては有意差を認めなかった。血中脂質(TC, TG, VLDL-C, LDL-C, HDL-C)においても3群間で有意の変化を認めなかった。我々は、以前、アンドロゲン受容体作働系が レプチンシグナルを増強する可能性を報告したが、レプチンシグナルの消失している系では、S42の抗メタボ作用が消去される可能性あるいは強度肥満モデルにおける作用限界の可能性が示唆された。
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