研究課題/領域番号 |
23390249
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
深見 真紀 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (40265872)
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研究分担者 |
曽根田 瞬 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (10367378)
加藤 芙弥子 浜松医科大学, 医学部, 研究員 (10462798)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子 / ホルモン / 先天疾患 / 性分化 / 小児内分泌学 |
研究概要 |
本年度は、第一に、まれな性成熟疾患であるアロマターゼ過剰症(AEXS)の原因となる15番染色体染色体微細構造異常の発生機序を解明した。すなわち、本症の発症にNon-B配列などの既知染色体再構成誘導モチーフに依存しないDNA複製エラーとnon-homologous end joining、および反復配列依存性に生じる非対立遺伝子間相同組換えが関与することを見出した。さらに、新たな患者を同定し、本症の性腺機能障害が主として視床下部におけるエストロゲンネガテイブフィードバックによるFSH分泌障害であること、エストロゲン過剰が男性妊孕性を阻害しないこと、本症の内分泌異常の改善にアロマターゼ阻害剤が有効であることを明確とした。また、乳がんの発症にアロマターゼ遺伝子周辺の体細胞性ゲノム構造異常の関与が少ないことを明らかとした。 第二に、アレイcomparative genomic hybridization (CGH), 次世代シークエンサーを含む新規分子遺伝学的解析技術を組み合わせた性成熟疾患と性分化疾患の効率的遺伝子変異スクリーニングシステムを構築した。これにより、原因不明の性分化疾患患者4例における微小欠失を同定し、性分化疾患発症におけるゲノム構造異常の寄与を明確とした。また、20番染色体に新規性分化疾患関連遺伝子が存在する可能性を見出した。 第三に、原因不明の複合型下垂体機能低下症患者においてFGFR1を含むヘテロ接合性微小欠失を同定し、FGFR1機能喪失がゴナドトロピン分泌障害のみならず、下垂体前葉形成の異常を招く可能性を見出した。この成績は、視床下部―下垂体系の形成におけるFGFR1-FGF8を介した新たな遺伝子相互作用の可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
POR異常症に関しては初年度に計画の大部分が達成されたため、本年度はAEXSと性成熟疾患、性分化疾患に焦点を当てて研究を推進した。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度には、これまでの成果を発展させ、新たな疾患発症機序の解明、疾患重症度決定因子の同定等を行う。これまでの研究からアレイCGHや次世代シークエンサーを用いたアンプリコンシークエンス・ターゲットエンリッチメントが多数の性成熟疾患患者の効率的解析にきわめて有用であることが明確となったため、これらを積極的に活用する。また、患者のステロイド代謝産物測定などにより視床下部―下垂体―性腺系のフィードバックに関与する新規因子を同定する。 最終的にこれまでの成果の総括を行い、性成熟疾患・性分化疾患の原因となる新規遺伝子異常の同定と発症機序の解明、変異陽性患者の遺伝子型―表現型解析、新規男性ホルモン産生経路 backdoor pathway の疾患への関与および生理的意義の解明を目指す。
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