研究課題
従来の研究で明らかにされてきた骨代謝関連細胞と造血の関係は、骨髄内骨辺縁の骨芽細胞が造血幹細胞ニッチであることを中心に進んで来たが、この骨髄と骨組織の接地面から離れた骨組織内部からの造血システムの制御に関して理解を深めることを目的として研究を進めて来た。その成果として、骨組織に埋もれた骨細胞が骨表面骨芽細胞をサポートする形でニッチ促進性に働き、また、おそらくprojectionを骨髄内にまでのばし骨髄内マクロファージをも促進性に制御していることを見いだした。臨床で用いられているサイトカインG-CSFによる骨髄から末梢血への造血幹細胞の動員においては、G-CSFによる骨芽細胞ニッチの破綻がその本態であることが知られているが、本研究により、G-CSFにより刺激された交感神経シグナルが骨芽細胞のみでなく骨組織内骨細胞へも作用してその働きを抑制し、これにより連鎖的に骨芽細胞ニッチへの直性のサポートシグナルの減少、さらには骨髄内マクロファージをサポートする作用の低下による間接的な骨芽細胞へのサポートの減少と、何重にも骨芽細胞ニッチを抑制させる方向に働くことが明らかとなった。これらは、骨細胞特異的除去マウスや Klotho hypomorphic mice といった複数の骨細胞不全マウスで示すことができた。3年間の本研究により、骨髄造血システムが周辺を覆っている骨組織から非常に強力な制御を受けている構図が明らかとなり、研究題目にあるように、骨組織を造血制御中枢とみなすことができるようになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件)
Cell Stem Cell
巻: 12 ページ: 737-47
10.1016/j.stem.2013.05.001