研究課題/領域番号 |
23390257
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北浦 次郎 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30282651)
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研究分担者 |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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キーワード | LMIR / アレルギー / 炎症 / ペア型レセプター |
研究概要 |
本研究の目的はLMIR3・4・5・6・7ノックアウトマウスの解析とLMIRリガンドの同定によりLMIRの生体内機能の全貌を明らかにすることである。当該年度の研究において、一部のLMIRリガンド候補分子の同定とLMIR欠損に伴う病態の変化を明らかにした。LMIRプローブやレポーター細胞を利用してLMIR3とLMIR5のリガンド候補分子を同定した。そのリガンドの生理的な意義については今後の検討を要する。他のLMIRリガンドの同定には至っていないが、同様の手法によるスクリーニングを継続している。LMIR4・6・7ノックアウトマウスに関しては、定常状態における解析から開始した。ミエロイド系細胞を含めて血球系の分化や増殖には明らかな異常を認めなかった。しかし、さまざまな疾患モデルを実施して、LMIR4が敗血症、LMIR7がアレルギー疾患に伴う炎症反応に関与する可能性を明らかにした。また、LPSなどのTLRリガンドの刺激により好中球から可溶性LMIR5(sLMIR5)が産生されて、敗血症を増悪させることを明らかにした。LMIR3ノックアウトマウスにおいては、マスト細胞が関与するアナフィラキシー反応、喘息モデルや皮膚炎モデルに伴う炎症反応が異常に亢進することが明らかとなった。さらに、LMIR3の野生型や変異体をLMIR3欠損マスト細胞に発現させた後、そのマスト細胞をマスト細胞欠損マウスに生着させて同様の実験を施行した。その結果、マスト細胞のLMIR3が細胞内領域に存在するITIMやITSMを介してIgEと抗原によるマスト細胞の脱顆粒やサイトカイン産生を抑制していることをin vivoにおいても証明した。LMIR3がアレルギー反応を抑制する重要なレセプターであることが判明し、アレルギーの病態を解析し新たな治療法を開発するうえで意義のある結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LMIRリガンドの同定は難しかったが、独自の方法により、一部のLMIRリガンド候補分子を同定したことは、今後の研究を加速させると考えられるため。LMIRノックアウトマウスの解析も進み、特にLMIR3ノックアウトマウスにおいてアレルギー反応が亢進するという結果はLMIRの全体像を明らかにするうえで重要な進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きLMIRリガンドの同定を試み、すべてのLMIRリガンドを明らかにすることを最終目標とする。ノックアウトマウスの解析には十分な動物飼育及び実験スペースが必要となり、その確保が必要となる。さまざまなモデル実験により各LMIRがどのような病態に関与するかを早期に見極めることで、効率よく集中的な実験を遂行したいと考えている。
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