研究課題
本研究の目的は,膠原病各疾患の病態学的特徴に基づく,より特異的な治療法を確立することにより,副腎皮質ホルモン剤・非特異的免疫抑制剤・生物学的製剤等既存の治療法が有する感染症・悪性腫瘍のリスク増大,代謝系への悪影響を減じ,かつコストパフォーマンスの高い新規の治療法を確立することである.申請者らは最初のターゲットとし関節リウマチの非免疫細胞側(線維芽細胞側)の因子を解析するため,変形性関節症(OA)および活動性層別化関節リウマチ(RA)滑膜線維芽細胞株を用いたマイクロアレイ解析を行った.特により炎症活動性の高いRA滑膜線維芽細胞に特異的な遺伝子を網羅的に検索したところCSF2が抽出された.これはGM-CSFの遺伝子であり,近年IL-17に代わってその自己免疫疾患の炎症の原因として注目されているサイトカインである.申請者らは別途偶然に発見していたRA間質性肺炎モデルマウス(SKG-zymosan)においてGM-CSF, IL-17, IL-6各サイトカインの中和による治療効果を比較した.驚くべきことにGM-CSFの中和は本間質性肺炎および関節炎を治療できるのに対し,IL-17中和には全くその効果が無いことが判明した.またIL-6中和はGM-CSFより弱い治療効果を示した.本研究の結果は,最近注目されている抗IL-17抗体治療よりも抗GM-CSF抗体治療が,関節リウマチ関節炎病態のみならず,より難治性で治療法に苦慮する間質性肺炎にも有効な治療法となり得ることを示唆しており,本抗体を用いた臨床治験を積極的に勧める有力なエビデンスとなる.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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