研究課題
TIM-4はT cell immunoglobulin and mucin domain (TIM)ファミリーに属し、主にマクロファージに発現し、死細胞の細胞膜表面に露出するPhosphatidylserineと結合して、死細胞除去に働くことが報告されている。しかしながら免疫応答や各種疾患における機能や役割は不明であった。我々は、マウスTIM-4遺伝子をクローニングしてTIM-4-Immunoglobulin(Ig)キメラ蛋白質や抗マウスTIM-4抗体を作製し、以下の研究結果を明らかにした。①TIM-4-Igはマスト細胞に結合し炎症性サイトカイン産生を誘導する。②この効果はTIM-4-Igとマスト細胞に発現するleukocyte mono immunoglobulin like receptor 5 (LMIR5)との結合によりもたらされる。③マスト細胞依存性喘息マウスや関節炎マウスに抗TIM-4抗体を投与した結果、抗炎症作用による治癒効果を示した。⑤マクロファージ上のTIM-4はMatrix metalloproteinaseの作用により切断され、可溶型TIM-4 (sTIM-4)として存在することを見出した。sTIM-4はTIM-4-Igと同様にマスト細胞に対して、サイトカイン産生誘導に働いた。⑥sTIM-4測定方法を作製して喘息マウスや関節炎マウスの血清中sTIM-4を測定した結果、正常マウスと比較して有意に上昇することが明らかとなった。従って、マウスではsTIM-4がマスト細胞の機能調節に働き、免疫疾患の発症や病態形成に関わることを示している。従って、ヒトにおいてもsTIM-4が存在する可能性はあり、免疫疾患治療の新たなターゲット分子や、補助診断あるいは治療効果や予後予測に際して有用なバイオマーカーになる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
sTIM-4は多種の炎症性サイトカイン産生の誘導に働く。現在、TNF-など個々の炎症性サイトカインを標的にした抗体医薬品は実用されているが、多種の炎症性サイトカイン産生を総合的に根本から抑制することが可能になれば、個々の抗サイトカイン抗体療法に抵抗性を示す患者さんの治療に繋がる。またsTIM-4は補助診断あるいは治療効果や予後予測に際して有用なバイオマーカーになる可能性がある。
可溶型マウスTIM-4がマスト細胞やマクロファージに結合して炎症性サイトカインの分泌を誘導し、喘息マウスや関節炎マウスの病態形成に関わることを明らかにしてきた。従って、ヒトでも同じ現象が起こっている可能性がある。これを検証するため、可溶型ヒトTIM-4の測定方法を確立して、可溶型ヒトTIM-4の存在を証明し、機能を明確にするとともに、喘息疾患の患者血清から可溶型ヒトTIM-4の検出を試みて疾患との相関を検討することが急務と考えている。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (25件) (うち査読あり 24件) 学会発表 (26件) 備考 (1件)
Mol Immunol
巻: 53 ページ: 295-301
10.1016/j.molimm.2012.08.004
Immunity
巻: 37 ページ: 827-839
10.1016/j.immuni.2012.08.018
Sci Signal
巻: 5 ページ: ra93
10.1126/scisignal.2003558
J Immunol
巻: 189 ページ: 5903-11
10.4049/jimmunol.1201940
Nat Genet
巻: 44 ページ: 1222-6
10.1038/ng.2438
Invest Ophthalmol Vis Sci
巻: 53 ページ: 7235-45
10.1167/iovs.12-10587
PLoS One
巻: 7 ページ: e44338
10.1371/journal.pone.0044338
巻: 189 ページ: 3641-52
J Dermatol Sci
巻: 68 ページ: 63-6
10.1016/j.jdermsci.2012.07.010
J Biol Chem
巻: 287 ページ: 32689-96
Hepatol Res
巻: 43 ページ: 276-88
10.1111/j.1872-034X.2012.01062.x
Allergol Int
巻: 61 ページ: 461-7
0.2332/allergolint.12-OA-0424
巻: 53 ページ: 5475-85
10.1167/iovs.12-9935
Blood
巻: 119 ページ: 6382-93
10.1182/blood-2011-12-399659
Immunol Cell Biol
巻: 90 ページ: 881-8
10.1038/icb.2012.22
巻: 66 ページ: 233-7
10.1016/j.jdermsci.2012.03.007
Cytokine
巻: 59 ページ: 108-14
10.1016/j.cyto.2012.03.018
Am J Respir Cell Mol Biol
巻: 47 ページ: 298-305
10.1165/rcmb.2011-0354OC
Thromb Haemost
巻: 107 ページ: 1000-2
10.1160/TH11-12-0833
巻: 61 ページ: 265-73
10.2332/allergolint.11-OA-0379
Int Immunol
巻: 24 ページ: 369-78
10.1093/intimm/dxs002
Hybridoma
巻: 31 ページ: 40-7
10.1089/hyb.2011.0087
巻: 5 ページ: ra5
10.1126/scisignal.2002056
J Allergy Clin Immunol
巻: 129 ページ: 814-824
10.1016/j.jaci.2011.10.019
Mol Biol Rep
巻: 39 ページ: 3747-53
10.1007/s11033-011-1150-2
http://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/meneki/home.html