研究課題
我々は前年度に続きEIAIにおける炎症細胞について予備的データを得た。Papainの吸入終了後、経時的に得たBALF(肺胞洗浄液)中のサイトカイン、ケモカイン濃度データである。また、C57BL/6Nマウスにpapainを吸入させることによって、7日後を最大とするBALF中への好酸球優位の炎症細胞の増加が認められるが、BALB/cAマウスではpapainの吸入を行っても好酸球性の気道炎症は認められずマクロファージの微増のみ認められた。本モデルは喘息関連遺伝子IL-33に依存している。しかしながら、BALF中のサイトカイン測定でIL-33の検出ができなかった。そのためpapain吸入後のより早い時間帯でのサンプリングを行った。その結果、IL-33濃度はpapain吸入後6Hを最大とする一過性の発現を示した。IL-33と同様にIL-5、IL-6もpapain吸入後6Hをピークとする類似のパターンを有していた。IL-13は6Hと72Hにピークがあり、TNFはpapain吸入後6Hと7日目にピークがある二峰性のパターンを示した。IL-4は72H後に単一のピークがあり、他のどの因子とも類似性がなかった。CCL12/MCP-5は7日目に単一のピークを示した。CCL17/TARCとCX3CL1/Fractalkineはそれぞれ7日目、6Hに弱いピークが認められるものの、早期から炎症収束まで全般に高値を示した。したがって、(1) Papainによって誘導されるEIAI病勢には遺伝的背景が影響すること、(2)IL-33はpapain処理後極めて短時間のみ誘導されIL-33サージの存在が示唆されること、(3)様々なサイトカイン発現パターンから、papain吸入後経時的に炎症を担うサイトカイン産生細胞の交代があること、が示唆された。
3: やや遅れている
途中、感染事故によりマウスコロニー閉鎖期間があったたことと、そのコロニー回復に予想していたよりも時間がかかっているため当初計画からやや遅れているが、野生型マウスを使用したBALF解析により、EIAIの基礎的な炎症動態が順調に明らかになりつつある。今後、EIAIに焦点を絞り概ね順調に進展する見込みである。
分担者の大保木が見出した知見(H22-23若手研究B)から、EIAIを制御する興味深い遺伝子IL33が明らかとなった。この知見をあわせることでEIAIの病理学的意義についても理解を深め、気道炎症におけるプロテアーゼによる自然免疫の関与を明らかにする。自然免疫系の関与にはTLR4遺伝子、PAR2遺伝子、CD3e遺伝子、Igh6遺伝子の欠損マウスを利用することで解析を進める。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件)
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