研究概要 |
本研究では既存の抗HIV剤とは異なる作用点であるHIV-1 protease (PR)の二量体形成に着目したものであり、研究代表者のグループはこれまでに二量体形成を阻害するとされる新たなクラスの候補化合物を複数同定、開発したが(Koh & Mitsuya et al, JBC. 2007. etc)、そのような新規抗HIV剤の開発および、その新たな作用機序を解析する事で、HIV増殖の詳細な分子機構とPR生成のダイナミクスを明らかにする事を目的とする。2011年、我々はTp-THF構造を持つ新規HIV-1 PR阻害剤(PI)であるGRL-1398A(Ide & Mitsuya, AAC. 2011)を報告したが、当該年度においてもoxatricyclic構造を有し、広域なスペクトラムでDRV高度耐性株を含む薬剤耐性HIV-1株の増殖を強力に阻害し、HIV-1の耐性化が極めて生じにくいGRL-0519(Ghosh, Amano & Mitsuya, ChemMedChem. 2010, Amano & Mitsuya, AAC. 2013)や、cyclohexane-bis-THFを有するPI, GRL-0739(Ghosh, Amano & Mitsuya, J Med Chem. 2013, Amano & Mitsuya, 投稿準備中)、また、高い中枢神経系移行性が期待されるGRL-04810, -05010(Miguel, Amano & Mitsuya, AAC. 2013)等の新規HIV-1 PIsの報告・開発に成功しており、これら複数のPIsはいずれも臨床試験移行を前提に更に検討中である。
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