研究課題
Down症新生児の約10%に前白血病TAMが発症し、その20%は骨髄性白血病(ML-DS)を発症する。GATA1の質的・量的異常による白血病発症の仕組みを解明することを目的として、本年度はTAMおよびML-DSにおけるGATA1以外の遺伝子変異の同定を試み、以下の結果を得た。次世代シーケンサーを用いて25例のTAM/DS-AMKL症例の全エクソン解析を行い、DS-AMKLでは、GATA1以外に繰り返し変異の見られる遺伝子を発見した (Yoshida, Toki et al, Nature Genetics 2013)。この結果を受けて、これらの遺伝子や白血病で高頻度に変異のみられる他の遺伝子群について、さらに多くの症例(TAM 41例、DS-AMKL 49例)で解析を行った。その結果、TAMではGATA1以外の遺伝子変異はきわめて稀であったが、DS-AMKLではコヒーシン複合体 (RAD21, STAG2, NIPBL, SMC1A, SMC3)(53%)、CTCF (20%)、EZH2などのエピジェネテック制御因子(45%)、およびRAS/チロシンキナーゼなどのシグナル伝達系分子(47%)をコードする遺伝子群に高頻度に変異がみられることが明らかになった。特に、コヒーシン複合体にみられた遺伝子変異は完全に相互排除的であり、コヒーシンと共に遺伝子発現制御に関わっているCTCFの変異を含めるとDS-AMKLの65%に変異が検出された。以上の結果より、TAMは21トリソミーとGATA1変異のみで発症している可能性が高く、TAMのサブクローンにコヒーシン/CTCFなどの付加的な遺伝子異常が加わりDS-AMKLに進展すると推定される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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