研究課題
モヤモヤ病は両側ウイリス動脈輪の狭窄や閉塞と側副経路として働く無数の毛細血管新生とを特徴とする難病である。我が国の患者の約半数は小児で、動脈硬化による脳卒中の少ない小児においては、脳卒中の主因を成す。モヤモヤ病の約10%の症例には家族歴が存在することから、その病因に遺伝的要因の関与が示唆されていたが、実態は不明であった。私共は、全ゲノム関連解析により感受性遺伝子RNF213を見出し、高頻度創始者点変異を同定した。RNF213遺伝子の生理的役割は不明であるため、これを明らかにする目的でRnf213遺伝子のノックアウト・マウス、および日本人高頻度創始者変異を導入したノックイン・マウスを作成した。ノックアウト・マウスとノックイン・マウスを肉眼解剖学的に解析したところ、両者に血管走行異常や脳形成異常は見いだせなかった。次に負荷をかけた際ののノックアウト・マウスの反応を観察すると野生型とノックアウト・マウスとの間に違いを認めた。実際には、内頚動脈を結紮し狭窄させると野生型マウスでは、結紮2週間後に血管中内膜が反応性に増殖・肥厚する。一方、ノックアウト・マウスではこの内膜・中膜の肥厚反応が有意に弱かった.従って、RNF213遺伝子は内頚動脈の血管内皮細胞の増殖調節に関与していることが示唆された。血管内皮細胞の増殖は、脳梗塞などの頻度の高い脳血管障害においても重要なプロセスである。今後さらに、RNF213遺伝子の生理的役割を更に詳細に解明することは、脳梗塞の治療戦略を与えるものと期待される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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