研究課題
小児固形腫瘍の難治性、再発に関与するがん幹細胞の分子メカニズムを解明するために、小児難治性腫瘍の代表である横紋筋肉腫の初発、再発、転移腫瘍を用いてエクソーム解析、全ゲノム解析を行った。またがん幹細胞の発生や維持に関するポリコム群蛋白の病的意義を解明するために、神経芽腫の進行例におけるターゲットキャプチャーを行った。横紋筋肉腫径16検体のエクソーム解析、また初発、再発、転移のトリプル検体に関しては、更に全ゲノム解析を行った。その結果、RAS、p53など既知の変異に加えて、新規の細胞シグナル経路の異常が複数例で検出された。全ゲノム解析では初発、再発・転移巣に共通する変異に加えて、独立した変異も散見され、がんの進展にがん細胞集団進化の関与が示唆された。以上の結果より、横紋筋肉腫では細胞増殖シグナル経路に関与する複数の遺伝子がその発症に関与している可能性が示唆され、また、再発や転移のメカニズムとして、がん細胞集団進化の機序が示唆された。進行神経芽腫24検体につき、ポリコム群蛋白80遺伝子のターゲットキャプチャーを行った結果、トライスラックス群蛋白ASH1Lの変異が再発例2例で重複していることが判明した。さらに新鮮腫瘍56検体、細胞株40株を用いて、次世代シークエンサーによるdeep sequencingを行い、変異の頻度の検証を行ったところ、この遺伝子は新鮮腫瘍の7.5%、細胞株の10%で変異を生じていることが判明した。発現解析ではstage1に比べてstage4群で有意な発現低下が認められた。これらの結果より、ASH1Lの機能喪失が神経芽腫の悪性化に関している可能性が示唆された。今後、これらの遺伝子変異のがん幹細胞における病的意義を検証する予定である。
2: おおむね順調に進展している
横紋筋肉腫のexome解析、全ゲノム解析が終了している。また神経芽腫におけるポリコム群蛋白のターゲットキャプチャーが終了している。
小児の難治性腫瘍である肺芽腫、肝芽腫のexome解析も進める。また横紋筋肉腫、神経芽腫で検出された遺伝子偏愛の病的意義を解明すると同時に、がん幹細胞における役割に関しても検討する。
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