研究課題/領域番号 |
23390277
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
南沢 享 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40257332)
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研究分担者 |
横山 詩子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70404994)
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キーワード | 未熟児 / 先天性心疾患 / プロスタグランジン / 血管リモデリング / 酸化ストレス / 血管内皮細胞 / 弾性線維 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
動脈管の開存、閉鎖の詳細な機序を理解することは、小児医療上、非常に重要である。時間的に異なる2つの過程が動脈管の閉鎖を制御している。非常に速い閉鎖過程として血管収縮があり、時間をかけておこる閉鎖過程として、遺伝子蛋白質レベルでの変化に由来する血管構造の変化がある。本研究では、動脈管の閉鎖の分子機構、特に血管構造の変化をきたす制御因子を同定し、内膜肥厚に及ぼす機序を解明することを目的とした。 1) PGE2-EP4シグナル経路においてcAMP経路を介さない動脈管リモデリング機序の解明 DNAマイクロアレイ法を用いて、cAMP以外にEP4刺激で発現に変化が見られる遺伝子を同定した。その中でNFkB経路が動脈管リモデリングに関与する可能性が示唆された。 2) PGE2-EP4シグナル経路を介さない動脈管リモデリング経路の同定 酸素刺激によって、内膜肥厚が促進することを明らかにした。これにはbFGFが関与している可能性が示唆された。 3) 動脈管が弾性線維低形成をきたす分子機序の解明 EP4刺激は血管平滑筋でのlysyl oxidase活性を低下させ、弾性線維低形成を来すことを明らかにした。また、動脈管開存モデルであるBNラットでは弾性線維の形成異常があることが示された。 4) 動脈管内皮細胞の特性の解明 FACS法により動脈管内皮細胞と隣接する他の血管(大動脈など)の内皮細胞を純粋分離することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに進行し、計画に支障を来す問題点は生じていない
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今後の研究の推進方策 |
1) PGE2-EP4シグナル経路において、cAMP経路を介さない動脈管リモデリング機序の解明 NFkB経路が内膜肥厚形成に及ぼす影響について検討する。2) PGE2-EP4シグナル経路を介さない動脈管リモデリング経路の同定 bFGFが内膜肥厚形成を起こす分子機序について詳細に調べる。さらに酸素化によって分泌されるタンパク質をLC/MS法を用いて同定する。3) 動脈管が弾性線維低形成をきたす分子機序の解明EP4 刺激がlysyl oxidase活性を低下させる分子機序を明らかにし、BNラットが弾性線維の形成異常を来す分子機序を明らかにする。4) 動脈管内皮細胞の特性の解明動脈管と大動脈の内皮細胞遺伝子発現の相違をDNAマイクロアレイ法を用いて調べ、重要遺伝子の機能を解析する。
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