研究課題
動脈管は胎生期にのみ開存し、生直後の肺呼吸の開始とともに直ちに閉塞にむかう肺動脈と大動脈とを連結しているバイパス血管である。生直後に強い血管収縮が生じるとともに、血管内腔面が閉塞し、血流が遮断され、最終的には索状の線維性組織へと変化する。動脈管閉鎖の分子機序を解明し、新たな治療法を開発することは、小児医療上、極めて重要である。動脈管は将来閉塞すべき運命にある血管として、血管内膜肥厚や弾性線維の形成不良が認められる。我々はその原因を調べるため、本研究では正常ラット動脈管の平滑筋細胞に対して、酸素刺激因子を与え、質量分析法を使って、網羅的に分泌される分子を解析した。その結果、低酸素状態から正常酸素状態に変化するとエラスチンの分泌が低下することが判明した。さらに正常ラット動脈管内皮細胞の単離に成功し、網羅的遺伝子発現解析を行って、動脈管内皮細胞特異的遺伝子を同定することができた。本結果から正常ラット動脈管内皮細胞に特異的に発現する遺伝子は、動脈管特有の機能・構造に関与していることが示唆され、後の詳細な検討が必要と考えられた。これらの成果は今後、本研究の最終である動脈管の閉鎖・開存を制御する新たな治療法を確立してゆくための基盤研究となると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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