研究課題/領域番号 |
23390279
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
澤村 大輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60196334)
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研究分担者 |
松崎 康司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50322946)
中野 創 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90281922)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マウス / モデル / 遺伝子 / 皮膚 / 表皮細胞 |
研究概要 |
本研究では, 遺伝子を破壊するのではなく,任意の時期に目的の蛋白そのものを分解できる画期的なcon KOマウス作成法を着想している。すなわち、植物のホルモンであるオーキシンは細胞内でTIR1蛋白と複合体をつくるとある特定の配列をもつ蛋白に結合できるようになり,ユビキチン化を誘導しその蛋白を分解することが植物の細胞で明らかになった.そこで,そのシステムを動物の培養細胞に応用する新しい分解システムが昨年開発された.すなわち,TIR1遺伝子と分解TAGを持つ蛋白遺伝子を培養細胞に導入する.そこにオーキシンが添加されるとTIR1蛋白との複合体が分解TAGに結合し,その標的蛋白をユビキチン化して急速に分解するという仕組みである.本研究では、TIR1遺伝子と分解TAGを持つBP180遺伝子の両方の遺伝子を発現するトランスジェニック(TG)マウスを作成, 次に我々が作成したBP180KOマウスの系と交配,内因性BP180のない状態でTIR1とTAG-BP180が発現するマウスを作る.そこにオーキシンを投与しTAG-BP180を分解,接合部型表皮水疱症や水疱性類天疱瘡のモデルを作成する.第2に,SERCA2カルシウムポンプをノックダウンしダリエ病のモデルマウスを作成により,常染色体性優性遺伝病における動物モデルを確立する.これは,単にTIR1遺伝子とTAG-SERCA2遺伝子が発現するTGマウスを交配し,2つの遺伝子が発現するマウスにオーキシンを投与する.そのマウスでは内因性のSERCA2とTAG-SERCA2の両方を発現しているので,オーキシン投与でTAG-SERCA2を分解すれば,優性の状態を作成できるという工夫である。実際には,TIR1遺伝子とTAG-BP180遺伝子の両方をもつTGマウスとBP180KOマウスの系との交配,BP180の分解実験の条件の設定を予定し実験をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BP180の分解実験の条件の設定:TIR1-TAG-BP180TGマウスではオーキシン投与によりTAG-BP180が分解されるシステムのため.表皮細胞を採取し,培養系でその分解を確認.次に,オーキシンを全身に様々の量を投与しTAG-BP180の分解の程度をウェスタンブロットや蛍光抗体で検討.またオーキシン外用によって,局所でどのくらいの量を外用すれば分解が起こるのかについてはさらに実験の追加が必要であった。SERCA2の分解実験の条件の設定に関しては、、TIR1-TAG-SERCA2TGマウスではBP180と同様にオーキシン投与によりTAG-SERCA2が分解されるシステムのため.まず表皮細胞を採取し,培養系でその消失を検討.しかし,この系では内因性のSERCA2は残るのでその点を考慮して実験を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
TIR1遺伝子とTAG-BP180遺伝子の両方をもつTGマウスとBP180 KOマウスの系と交配し,BP180とSERCA2それぞれの分解実験の条件を設定する.さらに,接合部表皮水疱症や皮膚潰瘍モデルマウスを作成する.さらに,このシステムから水疱性類天疱瘡とダリエ病のモデルの作成を目指す。
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