研究課題/領域番号 |
23390283
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
平川 聡史 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50419511)
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キーワード | 血管内皮増殖因子 / リンパ管新生 / シェディング / ヒアルロン酸 / 細胞内シグナル |
研究概要 |
ヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞を用いてLYVE-1のectodomain sheddingを検討した。VEGF-Aは、リンパ管内皮細胞に発現するVEGFR-2に結合し、リン酸化を誘導する。さらに下流にはMAPKが存在し、A disintegrin and metalloproteinase (ADAM)の局在と活性を制御していることが推察される。 アルカリフォスファターゼを用いたレポーター・システムを構築した。Ectodomain sheddinを効率良く評価するために、アルカリフォスファターゼ(AP)とLYVE-1を融合した蛋白質を発現させた。ヒト皮膚リンパ管内皮細胞にAP-HVE-1を発現した後、VEGF組み換え蛋白で刺激した。培養上清を回収し、遊離したAP-LYVE-1N末断片を定量的に評価する。準備実験を行い、VEGF-AがLYVE-1のsheddingを効率良く誘導することが示唆された。 VEGF-A-VEGFR-2シグナル経路を評価した。VEGF-Aによるsheddingが、VEGFR-2とその下流シグナルに依存していることを検討した。ヒト皮膚リンパ管内皮細胞を、VEGFR-2中和抗体IMC-1121bで前処理した。VEGF-A添加後、VEGFR-2とERKのリン酸化が抑制されることをWestern blotで検出する。さらにAPレポーター・アッセイを行い、VEGFR-2の不活化によりHVE-1のsheddingが解除されることを示した。 ヒト皮膚リンパ管内皮細胞を、MAPK阻害薬(U0216)またはMMP阻害薬(CB-12181)で前処理した。同様に、Western blot及びAPレポーター・アッセイで、LYVE-1 sheddingが解除されることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、平成23年度に予定した予定した研究計画に沿って研究課題に取り組み、予想された結果を得ている。一方、LYVE-1切断部位に関する検討は、なお詳細な解析を要する。このため、本研究課題の進捗状況はおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞生物学的な解析に止まらず、生体におけるLYVE-1のectodomain sheddingを検討していく。研究計画は変更することなく、さらに研究課題を遂行する。研究計画に明らかな問題点は生じていないが、次年度はマイクロ流路を用いた検討を開始する予定である。
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