• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

全ゲノムシークエンス時代に向けた統合失調症の病態の類型化と診断・治療戦略の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23390285
研究機関筑波大学

研究代表者

有波 忠雄  筑波大学, 医学医療系, 教授 (10212648)

研究分担者 飯嶋 良味  筑波大学, 医学医療系, 助教 (70574648)
キーワードゲノム / 脳神経疾患 / 遺伝学 / 統合失調症 / 薬剤応答性
研究概要

2人の統合失調症患者の末梢血由来のゲノムDNAを用いて、エクソーム解析を行った。その結果、遺伝子機能に影響を与える多くの変異を同定した。統合失調症は多因子性疾患であるため、多くのゲノム変異が発症に寄与している可能性があるため、変異を機能的にグルーピングする必要がある。そこで統合失調症の病態に関わっているグルタミン酸シグナル伝達に影響を与える変異を中心に解析を行った。その結果、ひとつの統合失調症の病態の深く関わっていることが知られている遺伝子のナンセンス変異を同定し、この変異がそれを有している患者の統合失調症の発症に大きく関わっていることが推測された。一方、グルタミン酸受容体機能に関わっている遺伝子のうち、SLC1A1遺伝子内のSNPsが統合失調症と関連していることを発見し、最も関連が強かったのはrs7022369であった。このSNPのリスクアレルがヒト死後脳の前頭前野解析によりSLC1A1遺伝子発現レベルが高いことと関連していることが分かった。しかし、エクソーム解析ではSLC1A1遺伝子の機能変化を予測させる変異は検出されなかった。本研究により、SLC1A1遺伝子多型が統合失調症の疾患感受性に関与する可能性を示唆し、統合失調症のグルタミン酸病態仮説に関わるものであると推測された。しかし、この結論には他の集団での確認と共に、頻度は低くても統合失調症に対する強いリスクを持った変異を同定するなどSLC1A1遺伝子と統合失調症との関連に関するより強い証拠が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

次世代シークエンサーの立ち上げにやや時間がかかり、解析したサンプル数が少数にとどまっている。一方、関連解析や遅発性ジスキネジアに関しては順調に論文として発表することができた。

今後の研究の推進方策

最大のハードルである次世代シークエンサーによる解析が軌道に乗ったので今後はサンプル数を増やすことにより、目的を達成できるものと予想される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Association of SNPs linked to increased expression of SLC1A1 with schizophrenia2012

    • 著者名/発表者名
      Horiuchi Y, Iida S, Koga M, Ishiguro H, Iijima Y, Inada T, Watanabe Y, Someya T, Ujike H, Iwata N, Ozaki N, Kunugi H, Tochigi M, Itokawa M, Arai M, Niizato K, Iritani S, Kakita A, Takahashi H, Nawa H, Arinami T
    • 雑誌名

      American Journal of Medical Genetics

      巻: 159B ページ: 30-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Positive association of phencyclidine-responsive genes, PDE4A and PLAT, with schizophrenia2011

    • 著者名/発表者名
      Deng X, Takaki H, Wang L, Kuroki T, Nakahara T, Hashimoto K, Ninomiya H, Arinami T, Inada T, Ujike H, Itokawa M, Tochigi M, Watanabe Y, Someya T, Kunugi H, Iwata N, Ozaki N, Shibata H, Fukumaki Y
    • 雑誌名

      American Journal of Medical Genetics

      巻: 156B ページ: 850-858

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Schizophrenia with the 22q11.2 deletion and additional genetic defects : case history2011

    • 著者名/発表者名
      Toyosima M, Maekawa M, Toyota T, Iwayama Y, Arai M, Ichikawa T, Miyashita M, Arinami T, Itokawa M, Yoshikawa T
    • 雑誌名

      British Journal of Psychiatry

      巻: 199 ページ: 245-246

    • 査読あり
  • [学会発表] SLC1A1遺伝子多型と統合失調症との関連解析2011

    • 著者名/発表者名
      飯田周平、堀内泰江、飯嶋良味、石黒浩毅、稲田俊也、渡部雄一郎、氏家寛、岩田仲生、尾崎紀夫、功刀浩、栃木衛、糸川昌成、新井誠、新里和弘、入谷修司、柿田明美、高橋均、那波宏之、有波忠雄
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2011-11-12
  • [学会発表] 抗精神病薬原性遅発性ジスキネジアのゲノムワイド関連解析2011

    • 著者名/発表者名
      田中俊輔、朱青、石黒浩毅、稲田俊也、堀内泰江、石川摩耶、古賀農人、野口恵美子、尾崎紀夫、柿田明美、高橋均、那波宏之、有波忠雄
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2011-11-12

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi