研究課題
統合失調症は症状、治療反応性、予後に患者間で大きな差があり、その差の一部は遺伝要因が関与していると推測されている。統合失調症には家族性と孤発例があり、遺伝的要因の違いのひとつの目安となっている。日本人における家族性の統合失調症の原因遺伝子を同定するためにこれまで罹患同胞対法により連鎖解析を行い、第1染色体の短腕部分に原因遺伝子が存在していることが示唆されてきた。発症リスクに関わる可能性のある多型頻度のゲノム多様性を全ゲノム関連解析用マイクロアレイとカスタムアレイで検索したが、連鎖を説明できる関連多型は検出されなかった。残っているのは稀な変異が原因となっている可能性である。そこで連鎖解析の対象となった統合失調症家系の発端者を対象に連鎖領域の遺伝子のエクソン領域に関して、発端者14例を対象にエクソーム解析を行い、候補遺伝子を選び、その候補遺伝子の全エクソンについて、全発端者を対象にリシークエンスして、すべての変異を検出した。SOLiD 5500によるエクソーム解析に続いてサンガー法により確認して検出された変異についてさらにPolyPhen2でDamagingと予測される変異に絞った結果、候補遺伝子としてCELSR2遺伝子が検出された。続いて、全家系メンバーを対象に同遺伝子の全エクソンをIon PGMによってターゲットリシークエンスを行い、サンガー法により確認した結果、2000人のコントロールと比較して、個々の家系により変異の種類は異っていたもの、遺伝子単位で見ると有意に患者に変異が多く、また、伝達不平衡テスト(TDT)法によっても有意に変異が発端者に伝達されていた。日本人の家族性の統合失調症の原因としてCELSR2遺伝子が関わっていることが示された。しかし、家系により関与する変異は異なることから個々の患者ごとにゲノム解析することの必要性が診断・治療戦略をたてる上で必要であることが確認された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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