研究課題/領域番号 |
23390290
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村井 俊哉 京都大学, 医学研究科, 教授 (30335286)
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研究分担者 |
澤本 伸克 京都大学, 医学研究科, 助教 (90397547)
藤原 広臨 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージングセンター分子神経イメージンググループ, 研究員 (10599608)
平尾 和之 京都文教大学, 臨床心理学部, 准教授 (20512479)
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キーワード | 統合失調症 / 社会性 / 神経経済学 / MRI |
研究概要 |
情動・社会刺激の認知に関わる多くの社会的刺激について、神経経済学などの関連諸科学から導入した社会的意思決定課題を中心に準備を進めた。特に、曖昧性忌避バイアス、並びに、サンクコスト効果を標的とした課題を開発した。後者につついては、機能的MRI課題を作成した。 統合失調症患者(10名)、および健康被験者(30名)を対象に、面接や定量的尺度を用いて、心理社会的諸側面の評価を行い、患者群については、PANSSなどにより精神症状や行動障害も評価した。さらに、上記の実験心理学的課題を用い、社会認知能力の諸側面の評価を行った。 これらの被験者群について、3T-MRI(シーメンス社)を用いて、T1-MPRAGE、T2強調画像、拡散テンソル画像の撮像を行い、また、default mode networkの解析のためにresting state fMRIも実施した。 これらの形態学的・機能的画像からは、灰白質・白質の局所体積、大脳皮質厚、白質線維の統合性、関心白質線維の走行、default modeでの機能的結合性が、各種解析ソフトウエアを用いることで解析可能となる。本年度は、まずこれらの画像パラメーター間の相互関連についての解析を進めた。結果、統合失調症において全脳レベルで皮質厚減少と白質統合性の低下とが強い相関を示していることを示し、局所レベルにおいては、眼窩前頭皮質-視床間の皮質厚減少と白質統合性低下とが強く関連していることを示した。これらの神経画像研究の成果も踏まえながら、次年度以降は統合失調症のいかなる脳構造・機能の異常が社会性障害のそれぞれの側面と関わっているのかを明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者数は、患者群においては、当初の計画よりも少数にとどまった。しかし、課題開発、健康被験者を対象とした画像・心理検査は予定通り進み、さらに、画像解析は予定より早いペースで進んだので、達成度はおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね予定通り進んでいるが、被験者数を増やすことで、研究成果の質をあげることが次年度以降の課題である。
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