研究課題/領域番号 |
23390290
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村井 俊哉 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30335286)
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研究分担者 |
藤原 広臨 独立行政法人放射線医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (10599608)
平尾 和之 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20512479)
澤本 伸克 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90397547)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 社会性 / 神経経済学 / MRI |
研究概要 |
統合失調症の白質統合性の病理と社会認知の関連についての解析を進め、アレキシシミアと呼ばれる自己の感情に対する気づきの指標との関連を解析した。44名の統合失調症被験者群で、アレキシシミアは対照群より有意に高い値を示し、患者群内で、アレキシシミア傾向の高さは、社会・情動認知にとって重要な複数の白質領域の病理と関連することが示された(Kubota et al., 2012)。 また、平成23年度に実施した大脳皮質厚、白質線維統合性など形態学的神経画像の解析については、最終的な解析を終え、学術論文として公表した(Kubota et al., 2013, Sasamoto et al., 2013)。統合失調症においては、大脳皮質と白質の病理が、全脳レベルにおいても、また視床・前頭葉結合という局所においても、相互に関連していることが明らかになった。 さらに、社会機能の総合的指標(QOL)に着目し、形態学的な神経画像の指標との関連について検討した。45名の統合失調症被験者群を対象とた解析の結果、主観的QOL低下と関連する大脳皮質体積の減少が、右背外側前頭前皮質などに認められた(Ubukata et al., 2013)。 一方で、平成23年度に健康被験者群を対象に実施した実験心理学的課題(曖昧性忌避バイアスおよびサンクコスト効果を標的とした課題)を用いてのfMRIの撮像は現在進行中であり、また、resting state fMRIの撮像についても現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安静時fMRIの解析や、課題関連fMRIの解析は年度開始当初予定したより進行が遅れ気味である。一方で、皮質・白質の形態学的画像解析、白質統合性と社会認知の関連、さらに、全般的社会機能と灰白質体積の関連については、すでに解析を終え、学術論文として公表するところまで至った。これらのことより、総じて、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
統合失調症被験者群の参加者募集が、当初予定したよりやや遅れ気味になっている。被験者募集の方法にさらに工夫を行う予定である。また、fMRIの画像解析がやや遅れ気味であるが、この点については、解析技術の高度の知識を有する専門家の支援を求めながら、克服していく予定である。
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