研究課題/領域番号 |
23390290
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村井 俊哉 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30335286)
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研究分担者 |
藤原 広臨 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10599608)
平尾 和之 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20512479)
澤本 伸克 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90397547)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 社会性 / MRI |
研究概要 |
統合失調症の共感性の基盤となる形態学的異常についてMRI画像で解析を進めた。69名の統合失調症群および年齢・性別などをマッチさせた同数の対照群を対象とした。共感性についてはInterpersonal Reactivity Index (IRI)と呼ばれる自記式質問紙で評価した。またMRI画像については、拡散テンソル画像により全脳レベルで主要白質領域の白質統合性を解析した。結果、統合失調症では、共感性を構成する諸側面のうち、「空想」下位尺度得点が左下前頭後頭束の白質統合性および前視床放線の白質統合性と正の相関、「個人的苦悩」下位尺度得点が脳梁の白質統合性と負の相関を示した。この結果は、統合失調症における共感性障害の異なる側面は、異なる領域の病理学的基盤と関連することを示している(Fujino et al, 2014)。 加えて、社会認知の主要な要素である「心の理論」の神経基盤について、18名の統合失調症群および年齢・性別なをマッチさせた30名の対照群を対象に検討した。「心の理論」についてはMoving Shape Paradigmと呼ばれる実験心理学的課題を用い評価した。またMRI画像については、全脳レベルで局所灰白質体積を評価した。結果、統合失調症群において課題成績の低下が、上側頭溝周辺皮質、内側前頭皮質の体積減少と関連することを示した(Koelkebeck et al., 2013)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した解析のうち機能的fMRIについては進行が遅れ気味である。一方で、皮質・白質の形態学的画像解析と社会認知の関連については、本年度も新たに学術論文として公表するところまで至った。総合的に見て、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本課題の最終年度となるので、得られた画像データおよび心理・行動データの総合的解析・解釈を進め、本課題全体のまとめの段階としたい。
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