研究実績の概要 |
前年度まで続けてきた統合失調症および健康対照群の画像データベース、ならびに実験心理学的課題と質問紙法で得られた心理・行動指標のデータベースをもとに、両者の関連を多角的に解析した。本年度は、統合失調症における創造性の神経基盤に関する関する研究(Son et al., 2015)、および統合失調症におけるバイオロジカル・モーション認知に関する研究(Matsumoto et al., 2014)を公表した。加えて本年度は研究期間の最終年度となるため、研究全体の総括として、統合失調症の社会性障害の神経基盤について、本研究課題において推進してきたマルチモーダルMRI画像研究の成果を通覧するかたちでのレビュー論文として公表した(Fujiwara et al., 2014)。レビュー論文においては、統合失調症の社会認知障害が多様でありまたその神経基盤の多様であることについて、本研究課題での成果を振り返りながら総合的な見解としてまとめた。また、統合失調症における社会認知の障害が実生活面での社会機能の障害に反映されることを述べ、社会認知への介入は、統合失調症の機能予後に影響しうることを考察した。
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