研究課題
基盤研究(B)
アルツハイマー病発症の分子機構では、アミロイドβやタウの異常は神経変性に至る連鎖反応の発端に近い現象であり、認知症の臨床症状が出現するよりも20年位前の時点で、すでに脳内にアミロイドの沈着が始まっていると想定される。最近、PETを中心とする分子イメージングを用いて、β-シート構造に特異的に結合する有機化合物を放射性アイソトープで標識し、リガンドとして生体に投与して脳画像を得るアミロイドイメージング技術が相次いで開発された。その中で[^<18>F]florbetapirは従来のアミロイド用リガンドと比べて敏感度、特異度共に優れている。特に、先行したピッツバーグ化合物B(PIB)よりも病期によるアミロイドβ沈着の変化を捉えることが可能で、かつ^<18>Fで標識された化合物で一回の合成で複数回の検査が可能なことから、今後アミロイドイメージングの中心技術となると期待されている。今年度は、[^<18>F]florbetapirによるアミロイドイメージングの妥当性を検討するために、アルツハイマー病患者群および健常群に同リガンドを用いたPET検査を行った。アミロイド病変の判定は、Fleisherらの方法に基づき、前頭内側眼窩野、頭頂葉、側頭葉、前部帯状回、後部帯状回、襖前部の小脳比の平均値>1.08をアミロイドβ陽性と判定した。その結果、[^<18>F]florbetapirによるアミロイドイメージングの陽性率は、健常群では7.7%、アルツハイマー病群では85.7%であった。以上から、[^<18>F]florbetapirによるアミロイドイメージングのアルツハイマー病診断マーカーとして有用性を確認した。
2: おおむね順調に進展している
[^<18>F]florbetapirによるアミロイドイメージングのアルツハイマー病診断マーカーとして有用性を確認できたため。
中高年うつ病患者を対象に[^<18>F]florbetapirによるアミロイドイメージングを行う。
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