研究課題/領域番号 |
23390293
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山田 和男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 副チームリーダー (10322695)
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研究分担者 |
豊島 学 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (90582750)
前川 素子 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (50435731)
大西 哲生 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80373281)
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー (30249958)
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キーワード | 統合失調症 / GABAA受容体 / カナビノイド受容体 / 遺伝子改変マウス / DNAChip / シグナルパスウェイ |
研究概要 |
我々のこれまでの統合失調症に関する遺伝子研究で「GABAA受容体サブユニット」およびGABA系神経伝達の制御に関係する「カンナビノイド受容体」の遺伝子多型(SNPs)に疾患への遺伝的脆弱性が認められたことから、本研究ではそれぞれの関連遺伝子改変マウスの網羅的な発現解析・行動解析・組織学的検討を行うことによって、各神経伝達系が情報伝達パスウェイとしてどのように疾患に関与しているかを明らかにすることを目的としている。 当該年度はGABA合成酵素であるGAD67/GAD65について、それぞれの遺伝子を操作したGAD67/GAD65 double hetero K/Oマウスを用いて、(1)統合失調症の臨床研究で異常が示唆されている前頭前野背外側部および海馬での発達段階におけるGABA合成低下の神経系に与える遺伝子変化についてのDNAchipを用いた網羅的な探索、(2)遺伝子改変マウスの脳内GABA濃度の測定(HPLC法)および形態学的・組織学的異常の検討、(3)GABA濃度の低下がマウス行動に与える影響について検討すべく統合失調症に関連すると考えられているprepulse in hibition testやsocialinteractiontestなどを含んだ一連の行動バッテリー解析、(4)パスウェイ解析を行った。その結果、当該マウスでは統合失調症類似の遺伝子変化および行動変化がみられることを確認したが、一方で統合失調症の臨床研究に基づく報告とは差異のあるものもみられた。 今回の結果は、GABA系神経伝達の障害が下流シグナルに影響を及ぼして包括的なパスウェイとして統合失調症の発症脆弱性をちたらす可能性があることを示すとともに、さらに未知の遺伝子・パスウェイが疾患に関与していることを示唆するものであり、今後の研究に意義ある方向性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた実験計画は計画通り終了しており、本研究課題は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の研究計画の予定通りに、cannabinoid receptor 1(CB1)K/Oマウスを用いた(1)DNAChip解析、(2)脳内GABA濃度の測定およびマウスの形態学的・組織学的異常の検討、(3)行動実験、(4)パスウェイ解析を行う予定であり、研究計画の変更はなく、研究を遂行する上で問題となることも特にない。
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