研究課題
統合失調症の慢性期に顕在化してくる認知障害には、GABA神経伝達が制御する抑制性サーキットの異常が関与していると考えられている。そこで、本研究では統合失調症罹患者のゲノム解析および死後脳を用いた遺伝子発現解析とGABA関連遺伝子を改変した疾患モデルマウスの解析とを行い、統合失調症の疾患病態におけるGABA系神経伝達の関与について検討した。まず、平成24年度までに(1)ヒトサンプルを用いたGABA関連遺伝子群の網羅的関連解析、(2)GABA合成酵素ヘテロノックアウト(GAD-hKO)マウスの表現型行動解析/網羅的遺伝子発現解析およびmiRNA解析を行った。さらに、GABA系神経伝達障害にカンナビノイド系神経伝達が上流因子として関与している可能性があると考え、(3)ヒトサンプルを用いたCB1R遺伝子の関連解析、(4)CB1R遺伝子ノックアウト(CB1R KO)マウスの網羅的遺伝子発現解析および行動表現型解析を行った。これらの研究からは、統合失調症と機能的関連が示唆される複数の遺伝子群が同定された。平成25年度は、(1)in silicoでのパスウェイ解析によって、GABA神経伝達系が制御する包括的な分子パスウェイの同定と統合失調症における評価を行った。その結果、GABA神経伝達系障害がグルタミン酸神経伝達系遺伝子群などに影響を及ぼす可能性を見出した。さらに、(2)CB1R KOマウス行動解析を継続し、活動性の低下や社会性障害などの統合失調症類似表現型が認められることを確認した。また、(3)CB1R KOマウスを用いた前頭前野背外側部および海馬での網羅的なmiRNA発現解析によって、「ゲノム多型」から「miRNAによる遺伝子制御機構」を経て「脳内遺伝子発現」へとつながるGABA神経伝達機能の分子機構が統合失調症の病態に関与していることを示唆する所見を得た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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