研究概要 |
肺高血圧症患者における検討においてはWHOクラス分類2,3の肺高血圧症患者27例(平均年齢44.8±14.3 歳, mean PAP (mPAP): 42.9±15.6 mmHg, PV resistance: 656.5±245.3)を対象に炭素11標識acetate PETにより右心室の心筋酸素代謝が上昇していることを昨年度報告したが、このうち19例の肺動脈性および8例の血栓性患者で詳細な検討を行った。両タイプともに健常者よりも右室酸素代謝が亢進していた (P<0.05)。しかし、この2群間には差は認めなかった。また右室酸素代謝の亢進は平均肺動脈圧、肺血管抵抗に関連していた(mPAP :r=0.44, p=0.021, PVR:R=0.56, P=0.002)。 また右室の駆出率を炭素15標識ガスにて自動的に計測するプログラムを開発した。 心サルコイドーシスにおける検討では心臓病変を疑われるサルコイドーシス患者においてFDG PETの左室心筋への異常な局所集積と心電図異常の関連性について検討を行った。32例に心電図異常を認め、そのうち13例がAVブロックであった。心電図異常を呈する患者群ではそうでない、患者群に比して、左室心筋へのFDG異常集積を示す領域を多く認めた (3.48±2.73 vs. 1.41±2.09 regions, p = 0.0051). 各種の心電図異常と心筋へのFDGの異常集積についての関連を検討したところ、心室中隔とAVブロックについてのみ有意な関連を認めた。本研究成果はこれまでサルコイドーシスにおけるFDGの左室心筋異常集積の臨床的な意義付けを行ったものである。
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