研究課題/領域番号 |
23390295
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
瀧 靖之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10375115)
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研究分担者 |
富田 博秋 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90295064)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 放射線 / 遺伝子 / 画像解析 / 生活習慣 |
研究概要 |
平成24年度に引き続き、被験者の脳MRI撮像、質問紙による生活習慣の収集、だ液からの遺伝子収集を行うと共に、脳MRI画像の処理、統計検定を行った。本年度は78人の被験者からデータ収集を行った。 昨年度までと同様、被験者候補者から引き続き参加希望者を募集した。募集方法はまず封書にて研究計画、案内を行い、研究に同意した被験者候補者が同封の返信葉書にて研究所に返信し、次に研究所から電話で直接の同意の確認、禁忌事項の確認を行った上で撮像日程を決めた。並行して、引き続き遺伝子解析に必要となる、唾液からのDNA採取キット、プローブ、プライマー、PCR用試薬、条件設定用予備解析PCR用試薬、及び種々のプラスティック容器を準備した。脳MRI画像は脳形態、脳安静時血流、白質微小構造を収集した。脳MRI解析は、既に確立しているvoxel-based morphometryの手法を用いて、脳画像の解剖学的標準化、組織分画、平滑化をStatistical parametric mattpingというソフトウェアを用いて行っている段階である。遺伝子解析に関しては、唾液から収集した遺伝子に対し、細胞膜融解、DNA結合蛋白の除去、DNA濃縮によりDNAを抽出する。ターゲットとする一塩基多型、対立遺伝子は、脳由来神経栄養因子Val66Met、およびアポリポタンパクe2/3/4対立遺伝子を今年度の解析対象としている。認知力テストは、65歳以上の被験者に対し、MMSEを用いた。これらのデータを元に多変量解析にて、既に収集分の被験者のデータを用いて、脳形態、認知機能、遺伝要因および生活習慣との相関を解析した。遺伝子データは現在genotypingのための準備を行っている段階である。これらの解析にて現状で得られた結果をとりまとめ、学会発表、英語原著論文の作成を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度も、昨年度までと同様、脳MRIの撮像、質問紙による種々のデータ収集、遺伝子キットによる遺伝子の収集を行った。昨年度までの段階でMRIの撮像希望を出していて、まだ撮像が出来ていなかった86名のうち、78名の撮像が終了したので、順調であると言える。また、被験者候補の方々への連絡、遺伝子解析に必要な遺伝子解析に必要となる、唾液からのDNA採取キット、プローブ、プライマー、PCR用試薬、条件設定用予備解析PCR用試薬、及び種々のプラスティック容器を準備の準備も問題なく進んだ。脳画像解析手法の確立も問題なく進んだ。遺伝子の解析準備にやや時間を要したが、当初予定していたApoEの対立遺伝子に関するgenotyping、BDNFのSNPに関しての解析準備がほぼ完了したので、概ね順調に推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方針としては、上述の通り、MRIの被験者撮像は非常に順調に進んでおり、希望者でまだMRI撮像が出来ていない方は数名を残す程度になった。そのため、今年度は、今後の研究の推進方策として、遺伝子データの解析により注力する。遺伝子解析に関しては、既に準備が整っているために、具体的な解析に入る。候補遺伝子としては、脳形態に影響を与えることが先行研究から明らかになっている、脳由来神経栄養因子(BDNF)の一塩基多型である、Val66Metやアポリポプロテインの対立遺伝子の遺伝子型に着目する。既に、解析に必要なプローブ、プライマー、PCR用試薬な入手済みであり、速やかに解析に着手する。脳画像解析手法は上述のように既に確立している。更に、統計検定により解析結果を出すために、質問紙の入力を促進する。これらを推進することで、統計解析などを速やかに始め、学会発表による発信を開始する。
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