研究課題
高次構造を形成し、リン酸化部位に結合活性を有する人工合成したRNAアプタマーを用いて、がん細胞の放射線感受性を制御する新しい放射線増感剤の開発を目指している。これまで、DNA2本鎖切断損傷の非相同末端結合修復(NHEJ) に関わるキナーゼであるDNA-PKcsの、特に自己リン酸化部位と想定される複数のペプチド配列に対して、これに結合するRNAアプタマーをSELEX法を用いて合成を試みてきている。本年度は、まずアプタマーに関して、RNAi発現用レンチウイルスベクターシステムを用いて、RNAiの代わりにアプタマーを発現するレンチウイルスベクターを構築した。その結果、3カ所の自己リン酸化部位(T2638、S4102、T2041)に、4種類のアプタマー発現ベクター(S4102に対して2カ所)ならびにランダム配列のコントロール用アプタマーを構築出来た。一方、アプタマーによる細胞影響評価の手法確立のため、DNA2本鎖切断損傷に集積する53BP1のフォーカスにより、DNA損傷の形成・修復を評価するシステムの構築を行ってきた。培養細胞であるU2OS由来の細胞を用いた蛍光ライブセルイメージングにより、放射線類似薬剤ネオカルシノスタチン、抗癌剤であるトポイソメラーゼ阻害剤カンプトテシン、エトポシドによる細胞周囲依存的DNA2本鎖切断損傷の評価と、チェックポイント活性化による細胞周期の乱れを検出するシステムの構築をすすめることができた。
2: おおむね順調に進展している
大学共通機器である放射線照射装置の故障と、その更新に手間取っていたため、放射線の細胞影響評価ができなかった。しかしそれに換わる蛍光ライブイメージングによる評価システムの構築を図ることができた。
レンチウイルスベクターによるアプタマー発現を培養がん細胞に対して行い、アプタマーの細胞への放射線増感作用を評価していく。また、蛍光ライブセルイメージングによる53BP1フォーカスを評価することによる放射線影響を検討していく。
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