| 研究概要 |
p53野生型の上衣芽腫，p53変異型の膠芽腫をヌードマウス皮下に移植して，炭素イオン線（290MeV/u, 6 cm-SOBP），Ｘ線2, 4, 8, 16, 24Gyの１回照射後について，1) cDNAアレイ解析，階層型クラスタリング，Gene Ontology解析，Pathway解析，2) 照射後6，48時間，6週間のパラフィン包埋切片のCD133, CD44, Nestin, PTEN, p53, Ki-67, GFAP等の免疫組織化学とH.E.染色，3) 照射後の増殖遅延，再増大の有無検討目的での腫瘍径計測を行った。
cDNAアレイ解析等では，p53野生型の上衣腫は，p53, Bax, Fas, TRAIL, PI3K等に変動を認めたが，p53変異型の膠芽腫ではこれらに有意な変化を認めず，p53R2, p70S6K, TRAIL-R, NF-kB, IkBa, IAP, STAT, HSP, VEGF等の変動が示唆された。免疫組織化学では，上衣芽腫は大部分の細胞がNestin強陽性，CD44弱陽性で，照射前後で有意な変化を認めなかったが，CD133は一部の細胞が弱陽性で照射後に陽性率の軽度上昇が示唆された。Ki-67 labeling indexは照射後に低下したが，再増大の有無によって大きく異なった。膠芽腫は大部分の細胞がCD44強陽性，多くの細胞がNestin陽性で，照射前後で有意な変化を認めなかったが，CD133は一部の細胞が弱陽性で，照射後に陽性率の軽度上昇が示唆された。増殖遅延の検討では，上衣芽腫はX線，炭素イオン線のいずれでも1～4Gy照射後のマウスでは再増大を認めたが，8G以上照射後のマウスでは増殖遅延が目立ち，一部では６週後まで再増大を認めなかった。ただし，照射後早期および6週間後のCD133の変化と腫瘍再増大の有無との相関は明確でなかった。
|
