研究課題
癌の手術でセンチネルリンパ節生検に基づくリンパ節郭清省略を安全に行うには微小転移巣を確実に診断する必要がある.そのためには免疫染色が必要であるが、術中に診断するには免疫組織染色の時間短縮が必須である.我々は組織切片に電界を印可することにより通常2次案以上を要する組織染色を12分に短縮させ特許出願した(電界IHC法).本研究では電界IHC法を術中免疫組織病理診断に臨床応用することを最終目的としていた.平成24年度の研究で至適電界条件を設定して免疫組織染色の安定性を検討した.そして一定の電界条件を決定した.この条件を元に秋田エプソン株式会社で迅速免疫染色装置を製造してサクラファインッテックから平成25年5月に上市した.この装置を用いて肺癌のリンパ節を術中に免疫染色した.34例の患者に対して65個のリンパ節を、抗サイトケラチン抗体を用いて術中迅速免疫染色により微小転移診断を行った.65個中18個で転移を認めた(研究代表者南谷).一方本技術は肺癌の微小転移のみならず、診断に免疫染色が使われているさまざまな領域に有用であることを示すために、研究分担者(谷野)、連携研究者(南條)は北海道大学と秋田大学の脳腫瘍183例に対してgliomaの悪性度診断のためにKi67染色を凍結切片とパラフィン切片に対して同時に行った.その結果パラフィン切片での診断を正しいとした時の正診率90.7%を得て臨床応用の可能性を明らかにした.また分担研究者南條は肺癌以外に脳外科、消化器外科、婦人科、小児外科、耳鼻科、血液内科の手術例に対して本技術を用いた術中迅速免疫組織染色を行い、その有用性を明らかにした.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Brain Tumor Pathol.
巻: 32 ページ: 12-19
10.1007/s10014-014-0188-y
病理と臨床
巻: 32 ページ: 54-58