研究課題/領域番号 |
23390317
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森田 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60371085)
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研究分担者 |
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
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キーワード | 生体イメージング / 発光プローブ / 細胞情報伝達 / 創薬 / 抗癌剤 |
研究概要 |
本研究では「ルシフェラーゼ再構成系」技術を用い、Aktの活性化をイメージングする分子プローブ及び小胞体ストレスをイメージングする分子プローブ(CHOP/PERK機能プローブ)の構築を目指している。 Akt活性化をイメージングするプローブについては、刺激が入る(Aktが活性化される)と発光するプローブ分子の構築を目指している。鉄道虫ルシフェラーゼ(CBRluc)をベースとしたプローブ分子作成を目指し、鉄道虫ルシフェラーゼN末端断片(CBRLucN)、鉄道虫ルシフェラーゼC末端断片(CBRLucC)、リン酸化ペプチド結合ドメイン(mFHA2)及びAktリン酸化ペプチド(Akt-sub)の4つのパーツの配置を相互に入れ替えて、複数プローブ候補を作成した。これらは、4つのパーツが一つのポリペプチドを構築している。更に、二つのポリペプチドで構成される発光分子プローブ(例えば、CBRLucN+mFHA2とCBRLucC+Akt-subの二つ分割)を構築した。 小胞体ストレスをイメージングするプローブについて、小胞体ストレスを感知したPERKが二量体化することに着目した。PERKタンパク質のC末端にホタルルシフェラーゼN末端断片(FLucN)とホタルルシフェラーゼC末端断片(FLucC)を融合したタンパク質を各々作成すること(PERK-FLucNとPERK-FLucC)で、この二量体化をイメージングする発光プローブ分子の構築を目指している。更に、ポリペプチドのC末端にKDEL配列を付加し、プローブタンパク質が小胞体膜に留置されるようにした。また、2つのプローブポリペプチドの細胞内での発現に不均衡が起こることをなるべく防ぐために、IRESでPERK-FlucN遺伝子とPERK-FlucC遺伝子を連結した発現コンストラクトを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
我々の研究グループで考案した「ルシフェラーゼ再構成系」技術を用い、 Aktの活性化をイメージングする分子プローブ及び小胞体ストレスをイメージングする分子プローブ(CHOP/PERK 機能プローブ)を構築する必要はあるが、CHOPプローブ以外のプローブの構築に大幅な遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、プローブの構築と生体イメージングのための条件検討を行い、AktとPERKの生体イメージングのため の個々の最適条件を決定する。また、有効なプローブが得られたら、細胞レベルでAktとPERKの同時モニタリン グの条件検討を行う(それぞれの遺伝子発現の調節など)。Akt機能および小胞体ストレスに対する生化学的・分 子生物学的な評価を基に、これらプローブの有効性を検証し、かつ充分な特異性とシグナル強度を持つプローブ に対して、小動物実験に向けた検討を行う。 創製したプローブを種々の癌細胞株(膵癌、胃癌、大腸癌および肝 細胞癌)に導入する(transient/stable transfection)。最初にin vitroにて、抗癌剤をチャレンジした後の反応性と抗癌剤の効果を解析する。それぞれに癌腫に対する臨床にて標準的な抗癌剤をチャレンジし、細胞のAkt 活性の変化、小胞体ストレスの変化を経時的にモニターし、増殖能、アポトーシス・ネクロ―シス誘導との関係を解析する。
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