研究課題/領域番号 |
23390317
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森田 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60371085)
|
研究分担者 |
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 生体イメージング / 発光プローブ / 細胞情報伝達 / 創薬 / 抗癌剤 |
研究概要 |
本研究では「ルシフェラーゼ再構成系」技術を用い、Aktの活性化をイメージングする分子プローブ及び小胞体ストレスをイメージングする分子プローブ(CHOP/PERK機能プローブ)の構築を目指している。 Akt活性化をイメージングするプローブについては、刺激が入る(Aktが活性化される)と発光するプローブ分子の構築を目指し、小胞体ストレスを感知したPERKは二量体化することに着目し、ルシフェラーゼ再構成系技術を用いて、この二量体化をイメージングする発光プローブ分子の構築を目指している。しかし、両プローブの構築は満足できるものができていない。今年度は、既に小胞体ストレスをイメージングするプローブとして構築できているCHOP遺伝子の発現をモニターするプローブを用いて研究を進めた。pEBMultiベクターは、霊長類(ヒト、サル)、イヌなどの細胞に導入する遺伝子発現ベクターである。pEBMultiは、Epstein-Barr Virus(EBV)由来の複製起点OriPとEBV Nuclear Antigen 1(EBNA1)遺伝子の働きにより、遺伝子導入細胞中においてプラスミドが細胞分裂後の娘細胞に分配されるEpisomal型ベクターであるため、宿主ゲノムDNAに組み込まれず、容易に安定発現株を樹立できる特徴を持つ。CHOP遺伝子の発現をモニターするプローブは、CHOP遺伝子のプロモーターの下流にレポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼ遺伝子を配置している。同部位をPCRを用いて増幅し、pEBMultiベクターに導入した。pEBMulti/CHOPプラスミドの各種癌細胞株(膵癌、胃癌、大腸癌および肝細胞癌細胞株)への導入を試み、安定発現株の樹立を試みている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
我々の研究グループで考案した「ルシフェラーゼ再構成系」技術を用い、 Aktの活性化をイメージングする分子プローブ及び小胞体ストレスをイメージングする分子プローブ(CHOP/PERK 機能プローブ)を構築する必要はあるが、CHOPプローブ以外のプローブの構築に大幅な遅れが生じてしまった。 pEBMulti/CHOPプラスミドの各種癌細胞株(膵癌、胃癌、大腸癌および肝細胞癌細胞株)への導入を試み安定発現株の樹立を試みているが、順調に進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
創製したプローブを種々の癌細胞株(膵癌、胃癌、大腸癌および肝細胞癌)に導入する(transient/stable tra nsfection)。最初にin vitroにて、抗癌剤を投与した後の反応性と抗癌剤の効果を解析する。それぞれに癌腫に対する臨床にて標準的な抗癌剤を投与し、細胞のAkt活性の変化、小胞体ストレスの変化を経時的にモニターし、増殖能、アポトーシス・ネクロ―シス誘導との関係を解析する。小動物を用いた腫瘍病態解析実験については、Aktおよび小胞体ストレスモニター用の光プローブを安定導入した癌細胞株(膵癌、胃癌、大腸癌および肝細胞癌細胞株)をマウス下肢の皮下に異所性移植し、上記抗癌剤の全身投与による影響を経時的に観察する。また、マウス下肢の皮下に異所性移植された腫瘍に対し、下肢の駆血による虚血の影響を観察する。更に、肝臓の外科ストレスによる影響の解析として、外科手術時に随伴する肝臓の 虚血・再灌流による肝臓への影響を観察する。 これら検討により、抗癌剤・虚血ストレスと小胞体ストレス・細胞生存能の関係、種々の癌細胞の抗癌作用の予測(程度とタイミング)を解析し、抗癌剤創薬スクリーニングのための基盤技術の開発も合わせて行う。また、 肝臓に対する外科侵襲に対するストレスを観察する。
|