研究課題
我々は血小板が強力な肝再生促進効果,線維化抑制効果,及び細胞障害抑制効果を持つことを世界で初めて報告し、血小板輸血による難治性肝疾患治療の探索的臨床試験を開始した。また、血小板による肝病態制御の生理活性の本体が、血小板に含まれるスフィンゴシン1 リン酸(S1P)による肝類洞内皮細胞の活性化であることを発見した。本研究の目的はS1P の分子生物学的作用機序の解明と、選択的に肝臓に集積させるためにS1P とヒアルロン酸を修飾したdrug delivery system を開発することである。加えて、肝疾患モデルを用い新規薬剤であるS1P・ヒアルロン酸リポソームの病態制御ならびに肝再生促進効果を明らかにする。最終的には新規肝再生治療薬を用いて、難治性肝疾患患者を治療することを目的とする。平成23年度はS1Pに着目し、不死化ヒト肝類洞内皮細胞株(TMNK-1)および不死化ヒト肝星細胞(TWNT-1)に添加してその効果を検討した。平成24年度はS1Pを肝類洞内に特異的に集積させるdrug delivery system(DDS)を数種類検討した。平成25年度はそのDDSのうち最も有効と思われるS1Pとヒアルロン酸の直接結合型製剤(新規DDS)を用いて、肝疾患の治療効果の検討を行った。ラット虚血再灌流モデルを用いて、新規DDSの効果を血清ALT値、肝組織のアポトーシス陽性細胞の比率などの指標で検討した。その結果、新規DDSは血清ALT値、アポトーシス陽性細胞率とも無治療群に比較して有意な改善効果を認めた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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