次世代質量分析と網羅的遺伝子発現解析による消化器癌の新規バイオマーカーの研究

2012 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23390320
• 研究機関: 富山大学
• 研究代表者: 嶋田 裕 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30216072)
• 研究分担者: 塚田 一博 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (90171967) ; 奥村 知之 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10533523) ; 有馬 美和子 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 副部長 (00312950) ; 安部 哲也 愛知県がんセンター, 研究所, 医長 (90378092) ; 門馬 久美子 東京都立駒込病院, 内視鏡科, 部長 (70509471)
• 研究期間 (年度): 2011-04-01 – 2014-03-31
• キーワード: バイオマーカー / 早期発見 / 食道癌 / miRNA / 質量分析

研究概要

まず、検体採取法について検討し、アプロチニン含有スピッツによる解析ではヒト以外の動物腫のタンパク質やmiRNAが混在することが判明したことから、EDTA含有スピッツでの採取を採用した。
研究は多施設共同研究とし、内視鏡にて完全切除が期待される食道早期癌で同時性他臓器との重複癌は除外する患者を対照とした。なお内視鏡切除が可能であれば食道内多発、前がん病変の有無および患者の全身状態は問わないこととした。当院を含めて4施設で倫理委員会の承認が得られ研究を開始しており現在まで3施設での24例の登録が終了し、サンプルの京大への搬送が終了している。本年度までの臨床情報は既に我々の施設で集計がなされており、昨年度の患者さんの経過追跡も完了している。
次世代質量分析器が期待していた網羅的解析には不向きであるが、糖鎖抗原の解析に優れていることが判明したことから、質量分析の対象としては我々が見いだしたFGFRLの蛋白での解析を目指して、糖鎖抗原について解析を行っている。またFGFRLについては抗体作製を行い、食道癌細胞株での増殖抑制効果のある抗体が数種類得られている。網羅的組織アレイの検討では消化管全般にわたって発現しており有力なターゲットと考えている。検出用にELIZAレベルでの検討も目指している。
一方、血中miRNA解析ではマイクロアレイ解析とPCR解析の解離があり、まだ解析方法を絞り込めていない。なお、Multiple RT-PCRについては、我々が見いだしたmir210を含めた解析を検討している。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

多施設共同研究で本学と他の2施設で検体採取が始まっているがまだ開始されていない施設が1施設存在する。食道癌におけるターゲット蛋白候補がまだ絞り込めていない。血中miRNAの検出にはマイクロアレイでの再現性に問題がありmulti RT-PCRを平行して検討している。次世代質量分析器は「最先端研究」での食道関係の解析を止められてしまったために難渋している。バイオマーカーの候補タンパク質としてFGFRL1の抗体を作成し、細胞株に対して抑制効果のある抗体を数種作成できた

今後の研究の推進方策

次年度には4施設で検体採取を可能としたい。必要があれば共同研究施設を追加する。miRNAの解析法を出来るだけ早く決定し解析を開始する予定であるが。貴重なサンプルであり、見切り発車により無駄にしないように、慎重に検討をすすめる。

研究成果

• [雑誌論文] Possible involvement of glucose transporter 3 and 4 in esophageal leiomyoma with unusual high uptake of fluorine-18-fluorodeoxyglucose. -Three case reports- (2013)
  • 著者名/発表者名: Shimada Y
  • 雑誌名: Esophagus 巻: 10 ページ: 印刷中
  • DOI: Esophagus 10.1007/s10388-012-0341-9
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinicopathological significance of deoxycytidine kinase expression in esophageal squamous cell carcinoma (2013)
  • 著者名/発表者名: Shimada Y
  • 雑誌名: Molecular and Clinical Oncology 巻: 1 ページ: 印刷中
  • 査読あり
• [雑誌論文] Barrett’s adenocarcinoma arising 30 years after a Nissen fundoplication (2013)
  • 著者名/発表者名: Shimada Y
  • 雑誌名: Esophagus 巻: 10 ページ: 印刷中
  • DOI: Esophagus DOI 10.1007/s10388-013-0370-z
  • 査読あり
• [雑誌論文] Critical role for the receptor tyrosine kinase EPHB4 in esophageal cancers (2012)
  • 著者名/発表者名: Hasina R, Mollberg N, Kawada I, Mutreja K, Kanade G, Y ala S, Surati M, Liu R, Li X, Zhou Y, Ferguson BD, Nallasura V, Cohen KS, Hyjek E, Mueller J, Kanteti R, El Hashani E, Kane D, Shimada Y, Lingen MW, Husain AN, Posner MC, Waxman I, Villaflor VM, Ferguson MK, V articovski L, V okes EE, Gill P, Salgia R
  • 雑誌名: Cancer Res 巻: 73 ページ: 184-194
• [雑誌論文] Expression Analysis of iPS Cell – Inductive Genes in Esophageal Squamous Cell Carcinoma by Tissue Microarray (2012)
  • 著者名/発表者名: Shimada Y
  • 雑誌名: Anticancer Res 巻: 32 ページ: 5507-5514
  • 査読あり
• [学会発表] Possible involvement of glucose transporter 3 and 4 in esophageal leiomyoma with unusual high uptake of fluorine-18-fluorodeoxyglucose (2012)
  • 著者名/発表者名: Shimada Y , Okumura T, Hori R, Moriyama M, Sekine S, Nagata T , Nomoto K, Fukuoka J, Tazawa K, Tsukada K
  • 学会等名: The 2012 ISDE congress
  • 発表場所: Venice (Italy)
  • 年月日: 2012-10-16
• [学会発表] Identification of microRNAs which regulate stem cell property in esophageal squamous cell carcinoma (2012)
  • 著者名/発表者名: Okumura T , Shimada Y, Sekine S, Moriyama M, Omura T , Kamiyama K, Hori R, Watanabe T , Hojo S, Matsui K, Y oshioka I, Sawada S, Y oshida T , Nagata T , Tsukada K
  • 学会等名: The 2012 ISDE congress
  • 発表場所: Venice (Italy)
  • 年月日: 2012-10-16
• [学会発表] Clinicopathological significance of deoxycytidine kinase expression in esophageal squamous cell carcinoma (2012)
  • 著者名/発表者名: Shimada Y , Okumura T, Sekine S, Moriyama M, Hojo S, Sawada S, Y oshioka I, Nagata T , Fukumoto J, Tsukada K
  • 学会等名: 47th ESSR Annual Congress
  • 発表場所: Lille (France)
  • 年月日: 2012-06-08