研究課題/領域番号 |
23390324
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島田 光生 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
|
研究分担者 |
武田 英二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00144973)
池本 哲也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20398019)
田中 真二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30253420)
宇都宮 徹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30304801)
安友 康二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30333511)
片桐 豊雅 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (60291895)
森根 裕二 徳島大学, 大学病院, 助教 (60398021)
居村 暁 徳島大学, 大学病院, 助教 (90380021)
親泊 政一 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (90502534)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 肝不全 / 加齢肝 / 幹細胞 / 加齢遺伝子 |
研究概要 |
1.加齢肝における背景肝内環境要因の解析:(1)マウス加齢肝の検討:雌性balb/cマウス8週齢以下を若年群、64週齢以上を高齢群とし、real time PCRにより高齢群の肝切除術前SMP30、p66、p16が有意に高値、肝再生率は術後48hr以降で低値、術後24hrでPCNAは低値。高齢群の術後SMP30は低値(24,48,72hr)、術後p16は高値(72hr)であった。両群ともapoptosisを認めずcyclinは高齢群低値で、細胞増殖能低下が示された。(2)ヒト加齢肝における解析:肝切除症例を若年群(70:n=54)に分類し、加齢遺伝子SMP30・SIRT1・p16をreal time PCRにより測定。高齢群のp16が有意に高値で、肝切除術後再生率(術前/術後6ヶ月肝容積:VINCENT,Fuji Film)と有意に反比例(R=0.6)。これらの知見により加齢マーカーの同定(特にp16)が高齢者ドナーの選別及び治療ターゲットになる可能性がある。2.脂肪由来幹細胞による肝保護効果:Celution System®により、ヒト皮下脂肪組織から抽出したADRCはActivin A、HGF、FGF等を含む培地にて約4週間で肝細胞様の形態を呈し、脾注により術後4週の残肝に抗HLA-1抗体及び抗human albumin抗体陽性細胞を認めた。さらにマウス肝細胞(1.0×105 cells / well)・ADRC(1.0×105 cells / well)のcell-cell contact(-)共培養では、肝細胞のviabilityは共培養群で良好。また培養液中VEGF mRNAが高値で抗VEGF抗体により肝細胞viabilityが低下したことから、ADRCの肝保護効果にはVEGFが強く関与している可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)マウス加齢肝における加齢遺伝子発現とともに肝切除術後再生能の低下、肝障害の増強を確認するとともに、加齢肝の影響がp16を介した増殖能低下であることが判明した。さらにヒト加齢肝においても同様にp16の術後肝再生能低下に関与しいることが示され、今後nお包括的遺伝子解析も最終段階に来た。さらに幹細胞の肝細胞分化能、幹細胞移植による肝切除術後肝保護効果も同時に確認することができ、target因子(VEGF)も特定できた。幹細胞の肝保護効果についてはは既に学会報告するとともに加齢肝遺伝子発現についても、本年度発表予定(2013外科学会)である。
|
今後の研究の推進方策 |
上記結果に加えて、今後は制御の可能性の探索とともに、加齢肝に対する若年幹細胞移植による若返り効果の解析をさらに推進していく予定である。また加齢肝切除におけるRho-kinase系を介した小胞体ストレス(ROS)の制御やHDACシステムのmodulationによる加齢肝再生・傷害の制御についても検討する予定としている。
|