平成24年度までに、米国・Johns Hopkins大学で迅速解剖プログラムで摘出された、膵臓癌の同一患者の原発巣と転移巣(肺転移巣と肝転移巣)から樹立された細胞株を用いて、網羅的なプロテオーム解析を行ってきた。Secrotome ProteomicsとMembrane Proteomicsの解析結果から、遠隔転移巣ではEMT(Epithelial-Mesenchymal-Transition)に関連するタンパク発現を認めた。 平成25年度は、これらの同一患者の原発巣や転移巣のタンパク発現の差異は、がんゲノムの進化に伴う不均一性(Heterogeneity)と関連していると考え、タンパク発現レベルにおけるがんの不均一性(Heterogeneity)について検討した。網羅的なプロテオーム解析に加えて、研究試料として細胞株だけでなく、凍結やホルマリン凍結組織を用いて、免疫組織化学染色やウェスタン・ブロッティングで検証実験に行った。その成果は、連携研究者の米国・Johns Hopkins大学のIacobuzio-Donahue教授(現 Memorial Sloan Kettering Cancer Center)とともに、"Heterogeneity of pancreatic cancer metastases in a singel patient revealed by quantitative proteomics"のタイトルで、Molecular & Cellular Proteomicsに投稿し、in pressになっている。
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