研究概要 |
膵癌は現在も有効な治療法がなく癌死の上位を占める。特に癌間質相互作用により高い浸潤能、転移能、治療抵抗性を有し、最近申請者はその責任細胞として癌間質ニッチに存在する膵癌浸潤/転移責任間質細胞を同定し、報告した。本研究ではこの癌間質相互作用を主導する癌間質ニッチ転移浸潤責任間質細胞に注目し、これをターゲットとして、さらなるcharacterizationとその機能、機序を解明し、その制御を目的としたドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を行う。本年度は、CD34,CD44,CD54,CD90,CD105,CD133,CD308,CD309など間葉系や内皮性幹細胞のマーカーを用い、切除組織より樹立した間質細胞集団のprospective isolationを進め、それに続く機能解析により更に詳細なphenotypingを行い、複数の有望なマーカーを同定した。現在そのマーカーにより特異的に分取した細胞集団の機能解析を進めている。また、純化した間質細胞集団を、膵癌細胞と共培養もしくはマウスに共移植することで、特定の癌間質細胞集団による癌細胞の増殖・浸潤・EMTへの関与を検討し、特にin vivo環境において癌間質相互作用に深く関わる細胞集団、標的分子の検討を行い,有望な分子を複数同定した。今後は,さらに、癌悪性化責任間質細胞の同定を進め、それをターゲットとしたDDSの開発をすすめていく。
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