研究課題/領域番号 |
23390328
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武冨 紹信 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70363364)
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研究分担者 |
前原 喜彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80165662)
調 憲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264025)
吉住 朋晴 九州大学, 大学病院, 講師 (80363373)
内山 秀昭 九州大学, 大学病院, 特任助教 (70380425)
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キーワード | C型肝炎 / IL28B遺伝子多型 / 肝移植 / ゲノム |
研究概要 |
我々はこれまでに67例の肝移植症例において、DonorおよびRecipientのSNPが移植後のIFN治療効果に有意に相関することを示してきた。この結果を臨床応用していくためには、多施設共同研究を行い、IL28B遺伝子変異解析が肝移植後IFN治療の効果予測において有用であることを確実に証明する必要がある。現在、全国の他施設共同研究施設におけるC型肝炎患者に対する移植症例のデータ集積および遺伝子多型解析に使用するレシピエントおよびドナーのPBMCもしくは切除検体から抽出したDNAを収集している。それとともに、IL28Bの遺伝子多型を簡便に検出するため、本邦に多いrs8099917(T:major allele, G:minor allele)にSNP解析を絞って検討することにし、特異的Taqman probeを作成しStepOnPlus;リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)を用いてgenotypingを行う検出系の構築を行った。この検出系の解析はこれまでのdirect sequencing法の解析結果と100%マッチし、かつより簡便な操作で遺伝子多型が検出されることが判明した。これまでのプレリミナリーな結果では、レシピエント、ドナー両者がmajor alleleであればVR率80%、SVR率57%と高い奏効率が得られるが、いずれか一方がminor allele保有者であると、VR率40%、SVR率20%と、両者がminor allele保有者であった場合のVR率46%、SVR率20%と同程度まで、著明に奏効率は低下することが判明しているが、より症例数を増やした解析を今後行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主任研究者が平成23年度途中に研究施設を移動したため
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今後の研究の推進方策 |
①肝移植後のIFN治療の感受性とDonorおよびRecipientにおけるIL28B遺伝子のSNPの相関 C型肝炎に対する肝移植症例は全国的にみても限られた施設でのみ行われているため、全国的な症例の登録および遺伝子解析を行い、再発したHCVに対するIFN治療の効果を追跡検討していく予定である。また、本邦における肝移植症例のほとんが生体肝移植であり、Donorは血縁、特に親子が多く、Haplotypeが一致する症例が多い可能性がある。これを解消するために、脳死肝移植症例の検体をより入手、解析し、再発HCVに対するIFN治療感受性におけるDonorおよびRecipientのSNPの意義を検討する予定である。 ②IL28B遺伝子周辺のSNPとIFN感受性が相関するメカニズムの解明 IL28B(interferon-lambda)はIL28 receptor alpha(IL-28Rα)はIL10 receptor beta(IL-10Rβ)とヘテロ二量体形成し、IFN-αやIFN-γなどのシグナルを細胞内に伝達する。これらの刺激により細胞内ではJAK-STAT経路が活性化され、ISREを介してinterferon stimulated genes (ISGs)群の発現が誘導される。IL28B遺伝子のSNPとIFN治療効果の相関メカニズムを明らかにするには、それぞれのHaplotypeに由来するIL28B(IFN-λ)の発現レベルおよび機能の解析を行い、IFN感受性への影響を検討する予定である。
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