研究課題/領域番号 |
23390328
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武冨 紹信 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70363364)
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研究分担者 |
前原 喜彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80165662)
調 憲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264025)
松浦 善治 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50157252)
福原 崇介 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70598739)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | C型肝炎 / IL28B遺伝子多型 / 肝移植 / ゲノム |
研究概要 |
現在、全国の他施設共同研究施設におけるC型肝炎患者に対する移植症例のデータ集積および遺伝子多型解析に使用するレシピエントおよびドナーのPBMCもしくは切除検体から抽出したDNAを収集している。それとともに、IL28Bの遺伝子多型を特異的Taqman probeを作成しStepOnPlus;リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)を用いて検討する系を立ち上げた。これまでのプレリミナリーな結果では、レシピエント、ドナー両者がmajor alleleであればVR率80%、SVR率57%と高い奏効率が得られるが、いずれか一方がminor allele保有者であると、VR率40%、SVR率20%と、両者がminor allele保有者であった場合のVR率46%、SVR率20%と同程度まで著明に奏効率は低下することがこれまでの検討で判明している。現在、全国から集積した症例からのDNA抽出およびgenotypingの検討を行うと同時に、肝移植peg-IFN+RBV治療の効果、およびHCV再発によると考えられる肝線維化および肝機能障害の臨床データの集積を行っている。これらの臨床データとgenotypingの結果を総合的に解析することにより、肝移植後IFN治療におけるレシピエントおよびドナーのIL28B遺伝子多型の意義を明らかにすることができると考えている。 また、これまでに、移植前後および移植後IFN+RBV治療中の生検肝組織を材料とし、IFNによって強く誘導されるISG15mRNA発現量を定量的RT-PCRで検討したが、レシピエントではSNPの有無と相関していたが、ドナーでは関係していないという興味深い結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
replicon systemの立ち上げに時間を要しているため
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今後の研究の推進方策 |
①IL28B遺伝子周辺のSNPとIFN感受性が相関するメカニズムの解明 (1)HCV-RNAの変異とIL28B遺伝子のSNPの相関:HCV-RNA変異とIFN感受性が相関する機序は不明な点が多く、今回研究対象としたIL28B遺伝子のSNPが関与している可能性が十分に考えられる。そこでIFN感受性が判明している移植患者の臨床検体を用いて、Core領域内の70番目および91番目のアミノ酸置換、NS5A領域内のISDR、IRRDRの変異数とIL28B遺伝子のSNP(rs8099917、rs12980275)の相関を検討する。さらに、相関を認めたウイルスゲノムの変異に関して、その変異を遺伝子型1bのcloneであるCon1をbaseとした細胞内で複製を検討可能なreplicon systemを用いて、ウイルスゲノムの変異の有無でIFNλの感受性に差が認められるか否か検討する予定である。 (2)IL28B遺伝子のSNPとISGの発現量の相関:慢性肝炎患者において抗ウイルス治療前のISGのmRNAが高い症例はIFN治療効果が不良であることが報告されている。IFN-λはISGを誘導するサイトカインであり、IL28BのSNPとIFN感受性の相関の間にISGsの誘導が関わっている可能性が高い。これらISG遺伝子群の変化とドナー、レシピエントのIL-28B周辺SNP、さらにはHCVゲノム変異などとの関連を検討することにより、移植前後の抗ウイルス免疫動態を明らかにする予定である。
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