研究課題
基盤研究(B)
胃癌組織内には低酸素の部位が存在する。低酸素状態は、癌細胞の転移能や治療抵抗性を亢進させ、その悪性能を増強させる可能性が推測されているが、その検討は少ない。そこで今回我々は、低酸素状態で誘導されるCarbonic Anhydrase-9 (CA-9)を指標に、胃癌組織における低酸素状態とその臨床病理学的意義について検討した。当科で手術を行った胃癌265例を用いた。パラフィン包埋切片を作成し、抗CA-9抗体による免疫組織学的染色を行った。20%以上のがん細胞が染色される症例をCA-9陽性とした。胃癌265例中88例がCA-9陽性であった。CA-9発現は、4型で60%、未分化癌で41%、進行癌で43%、リンパ節転移陽性で45%、リンパ管侵襲陽性で43%と有意に高頻度であった。予後因子についての単変量解析ではCA-9の発現は予後に有意に相関していたが、多変量解析では有意な独立した予後因子ではなかった。CA-9の発現はoverall 免疫染色の実験では、さまざまな因子とCA-9の発現が関わりを示し、腫瘍の悪性度との関係を示唆された。化学療法や放射線療法の抵抗性を示す低酸素の状態にCA-9が関わっている可能性があり、今後CA-9をコントロールすることで治療効果を向上させる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
胃癌組織内には低酸素の部位が存在し、低酸素状態は、癌細胞の悪性能を増強させることが明らかになった。
癌組織内の低酸素の病態解明とその対策を検討する。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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