研究課題
膵癌の新規治療法として、腫瘍新生血管を抑制するVEGFR2(vascular endothelial growth factor receptor 2)由来ペプチドによるワクチン療法の研究を行ってきた。使用してきたペプチドは、日本人の約60%にあたるHLA-A*2402陽性患者のみを対象としたものであったため、必ずしもすべての膵癌患者に投与できたわけではない。そこで、A*0201やA*0206など他のHLAタイプに応用できるペプチドの開発、かつ、新たな腫瘍細胞を直接抑制するための腫瘍細胞に発現するoncoantigenの同定が必要であった。現在、VEGFR1・VEGFR2・KIF20Aに対するペプチドでHLA-A*0201に親和性を有するモチーフのものを決定し、腫瘍新生血管と腫瘍細胞の両者を抑制する2方法性新規ペプチドワクチン療法をA*0201の患者に対しても行うことが可能となった。新規ペプチドの開発としては、GeneChip U133 plus 2.0 arrayを用いGeneChip Operating Software (GCOS)によって同定したMUC-16とmesothelineの2つの分子を標的分子とする。当科で切除した膵癌患者255例の膵癌組織でpreliminaryにMUC-16とmesothelineの免疫組織染色を施行し、MUC-16とmesothelineが膵癌のinvasive frontに発現しており、MUC-16とmesothelineの発現がみられる症例のほうが予後不良であることを報告し(Cancer Sci.2012;103:739-746.)、2つの分子ともに予後にも影響を与えていることが証明された。現在、MUC-16とmesothelineに対するペプチドのモチーフを決定し、その作成を開始している。ペプチドの安定性や凝集の有無、溶解度など生化学的安定性をまずは検証するための準備を行っている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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