研究課題/領域番号 |
23390338
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
夜久 均 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50295648)
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研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00243220)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
中谷 敏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80393221)
橋本 和弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30172860)
笠貫 宏 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40096574)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20339691)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 僧帽弁形成術 / 自己心膜 / 僧帽弁逆流 / 僧帽弁狭窄 / 国際研究者交流(ドイツ) |
研究概要 |
1)ステントレス僧帽弁のデザインの模索:動物実験、臨床試験にて問題になった弁尖の形状について変更の可能性を流体力学シミュレータを用いて検討した。弁尖の面積を少し小さくすることによって、流入血流が改善することを期待したが、どうしても逆流が増えるため形状の変更を見合わせた。 2)動物実験の継続:ブタを用いて動物実験を重ね、術後急性期の心エコー評価を行った。計8例の実験において、心エコー評価にて僧帽弁の有意な逆流は認めず、また拡張期の僧帽弁平均圧較差は非常に小さく良好な血行動態を示した。 3)臨床応用のupdate:24年度はさらに1例の臨床応用例を追加し、現在までに7例の臨床例を得た。さらに中期遠隔期まで心エコーデータをそれぞれに追跡し、すべての症例で良好な予後、心エコーデータを確認した。特に僧帽弁逆流が軽度を超えて認められた症例は無かった。 4)広報・普及活動:平成24年7月第1回ステントレス僧帽弁臨床研究会を行い、実験データの報告、臨床例の報告、またステントレス僧帽弁の手術適応に関してパネルディスカッションを行った。当会にはドイツから僧帽弁形成術の世界的なリーダーであるPatric Perrier教授を招聘し貴重な意見を得た。さらに臨床例の1例を欧州心臓血管胸部外科学会(10月、バルセロナ、スペイン)にて発表した。また症例登録制度を開始し、広く参加施設を募集するとともに、手術手技の指導のためにウェットラボを2回開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画として3年間に3つのステージを考えていた。一つは流体力学的シミュレータを用いたステントレス僧帽弁の弁尖デザインの完成。次に動物実験の遂行。そして臨床応用である。これらの目標はすべて2年間で達成することが可能であった。そういう意味では順調である。ただ臨床応用が早かったにもかかわらずまだ症例が7例と症例数が増えず、それらに臨床成績も良好なことを受けて今後は適応拡大を図っていく努力が必要である。また今後の方向としてステントレス僧帽弁の弁尖を切り取る機械を試作中である。これも実用化に向けて更なる改良が必要である。このようにまだ更なる目標をクリアする必要があることから自己評価をこの区分にとどめた。
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今後の研究の推進方策 |
1)弁尖の切り取り機械の開発:ステントレス僧帽弁の弁尖を自己心膜からテンプレートに合わせて切り取るのであるが、なかなか正確に切り取るのが困難である。それを正確にテンプレート通りに切り取る機械を試作中であり、実用化に向けて改良を重ねる。 2)臨床応用に至った症例数が7例とまだ少ない状況であるので、さらに普及活動、ウェットラボの開催、適応拡大への検討を行い普及に努め、症例数を増やす。 3)ステントレス僧帽弁臨床研究会を継続的に実施し、臨床例の成績報告、様々な問題のディスカッション、ウェットラボを行う。 4)現在までに蓄積してきた動物実験データ、臨床症例成績を国際学会で発表する。すでに2013年に開催される欧州心臓血管胸部外科学会に応募済である。
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