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2011 年度 実績報告書

人工心臓使用時のデバイス由来感染症防止に有用なスキンボタン・デバイス被覆材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23390341
研究機関独立行政法人国立循環器病研究センター

研究代表者

水野 敏秀  独立行政法人国立循環器病研究センター, 人工臓器部, 室長 (40426515)

キーワードデバイス由来感染症 / スキンボタン / 多孔体
研究概要

我々は,埋込型人工心臓の長期使用時におけるドライブライン感染症防止に有用な新規スキンボタンを開発し得た.本品は,ドライブライン皮膚貫通部の表皮から皮下組織に亘って設置し,使用する.フランジ下層は,三次元網状構造を有する多孔体(孔径200-300mm)であり,皮下組織と強固に癒着する.上層のフランジは柔軟な無孔性シートで作製され,表皮上に露出し同部を貫通するドライブラインを周囲組織と無理のない状態で固定可能な形状を有する.この構造により,本品は皮膚貫通部における表皮ダウングロースを抑制し,さらにはドライブラインからの物理的な負荷を周囲組織に伝えることなく,細菌感染の温床となる死腔形成を防止することを可能としている.本研究では,本新規スキンボタンを埋込型補助人工心臓のドライブライン(6mm径)に適用し,3ヶ月間の慢性動物実験にて性能を評価した.実験には仔ウシを使用し,スキンボタンをドライブライン皮膚貫通部に使用した2例およびドライブラインを直接皮膚より貫通させた5例を比較検討した.実験期間中,急性期を除き,消毒およびドレーピングを一切行わなかった.結果,スキンボタン未使用例5例中1例において,術後45日以降,出血を伴うドライブライン感染を発症し,創部の治療を必要とした.他4例については,皮膚貫通部において軽度のポケット形成が認められるが,炎症および感染所見は認められなかった.一方,スキンボタンを使用した3例では,実験期間中ドライブラインは皮膚に無理なく固定され,その周囲の表皮ダウングロースやポケット形成を抑制可能であった.また,遠隔期においてドライブラインに強い牽引を加えた場合においても,皮膚より剥離することなく,強固な癒着を維持していた.従って,新規開発したスキンボタンは,ドライブライン感染症に対し,その発症を効果的に抑制することが可能であると考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究において,我々が開発した埋め込み型人工心臓のドライブライン用スキンボタンは,3ヶ月の動物実験にて,出口部感染の防止に有用であることが示された.また,本開発品は共同研究者であるニプロ社に,試験プラントを設置し,上市に向けて量産体制の構築と品質のバリデーションを検討している。

今後の研究の推進方策

本年度は,本開発品を実際に上市するために必要な多孔体の生産方法の検討および生産品の生物学的安全性の検討をおこない,開発品の実用化を目指す.スキンボタンは,昨年度の研究において,我々が別途開発研究を行っておいる埋め込み型人工心臓のドライブライン用に開発されてきたが,より広範に使用されるように,様々な素材,ライン径に適合した形状(デザイン)の検討,素材の機械的物性の検討を行う.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Development of a novel skin-button for preventing the driveline infection of an implantable VAD system2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihide MIZUNO
    • 雑誌名

      ASAIO Journal

      巻: 57 ページ: 77

  • [雑誌論文] Development and in vivo test of a new VAD system with hydrodynamically-levitated axial flow turbo pump2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihide MIZUNO
    • 雑誌名

      ASAIO Journal

      巻: 57 ページ: 78

  • [雑誌論文] Development and long-term in vivo testing of a novel skin-button system for preventing driveline infection of an implantable VAD system2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihide MIZUNO
    • 雑誌名

      J Artif Organs

      巻: 14 ページ: 371-374

    • 査読あり
  • [学会発表] ドライブライン感染防止に有用な新規スキンボタンの開発とin vivo評価2011

    • 著者名/発表者名
      水野敏秀
    • 学会等名
      日本人工臓器学会大会(49)
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 年月日
      20111125-20111127
  • [学会発表] Wedge Thrombus防止に有用な組織親和性に優れた新規ポリエステルベロア装着脱血カニューレの開発2011

    • 著者名/発表者名
      水野敏秀
    • 学会等名
      日本人工臓器学会大会(49)
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 年月日
      20111125-20111127
  • [学会発表] Development and in vivo evaluation of novel infection-resistant skin-button for an implantable axial flow VAD system2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihide MIZUNO
    • 学会等名
      Congress of the International Society for Rotary Blood Pumps (19)
    • 発表場所
      Louisville, USA
    • 年月日
      20110908-20110910
  • [学会発表] Development of a novel skin-button for preventing the driveline infection of an implantable VAD system2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihide MIZUNO
    • 学会等名
      American Society for Artificial Internal Organs (57)
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      20110610-20110612
  • [学会発表] Development and in vivo test of a new VAD system with hydrodynamically-levitated axial flow turbo pump2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihide MIZUNO
    • 学会等名
      American Society for Artificial Internal Organs (57)
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      20110610-20110612

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公開日: 2013-06-26  

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