研究課題
本研究では、安全で効率的な骨髄間質細胞(bone marrow stromal cells; BMSC)の培養と移植法、移植細胞の挙動の捕捉、客観的な治療効果判定法などについて検討した。ウシ胎仔血清(FCS)の代替として、他家ヒト血小板溶解物(platelet lysate: PL)を培養液に添加しヒトBMSCを培養した。またPL-BMSCを超常磁性酸化鉄(superparamagnetic iron oxide; SPIO)製剤で標識し、ラット脳梗塞モデルの脳内に定位的移植した。小動物用MRIで経時的に撮像し移植細胞の挙動を捕捉し、行動学的評価や組織学的評価を行った。またラット脳梗塞モデルに対し移植前後に18F-FDG PETや123I-IMZ SPECTを行ない、脳局所糖代謝や中枢性ベンゾジアゼピンレセプター機能を検討した。PL-BMSCは培養速度、細胞表面抗原、培養液上清の栄養因子、神経系細胞分化のいずれもFCS-BMSCと同等であった。行動学的評価では、PL-BMSC移植群では脳梗塞作成後の運動機能低下が有意に改善した。組織学的検討では、BMSCの病変部への遊走や、神経系細胞や血管内皮マーカーの発現がみられた。MRIでは、移植されたSPIO-BMSCが移植後8週間は捕捉でき、病変周囲への遊走が経時的に観察できた。18F-FDG PETでは、脳梗塞周辺部での脳局所糖代謝低下が、BMSC移植群で有意に改善が見られた。123I-IMZ SPECTでは、虚血側大脳皮質でのIMZ結合能の低下が、BMSC移植群では有意に改善が見られた。現在我々は、『新たな培養・移植・イメージング技術を駆使した自己骨髄間質細胞移植による脳梗塞再生治療 - 治療メカニズムの解明を目的とした臨床試験 』(RAINBOW研究)を準備中であり、これらの研究成果を臨床プロトコールに採用する予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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