研究課題/領域番号 |
23390344
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
成相 直 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (00228090)
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研究分担者 |
田中 洋次 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80323682)
豊原 潤 東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (50425659)
松村 明 筑波大学, 人間総合科学研究所, 教授 (90241819)
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キーワード | 悪性グリオーマ / 転移性脳腫瘍 / PET / 4DST / DNA合成 |
研究概要 |
分担研究者豊原らによって新規に開発された4'-[methyl-11C]thiotymidine(11Cチオチミジン)(以降11C-4DSTと表記)は、PET診断薬として世界で初めて生体で腫瘍細胞のDNAに取り込まれることが確認された薬剤である。本研究において、悪性脳腫瘍患者におけるより大規模な本格的な臨床試験を開始した。これまで述べ23名の脳腫瘍患者の計測を行った。原則として動脈採血下の動態解析から腫瘍DNA分画への診断薬の取り込み速度の定量計測を行っている。これまで臨床使用による有害事象は発生していない。 4DSTの腫瘍への取り込み速度は臨床的悪性度(増殖速度)との相関が高いことが明らかになった。また化学療法、放射線療法に対しての治療効果が鋭敏にかつ早期に判定できることも明らかになった。 動物用PETを用いた基礎研究として急性期炎症と腫瘍の鑑別に関する論文が出版された。これによりこれまでのPETによる代謝診断薬に較べると4DSTが血流や血管床の変化には影響を受けづらく増殖しつつある腫瘍細胞に特異的に取り込まれることを示唆する所見が臨床的にも基礎実験に置いても集積されつつある。 これらの結果を踏まえ、年度後半からは悪性腫瘍のみではなく良性腫瘍や炎症などの非腫瘍性疾患の可能性が高い場合にも研究的計測へのご協力を依頼し、ご理解が得られた方での計測を開始している。 また、本手法が新たな診断法として有力であることが明らかになってきたことを内外の学会やセミナーでにアピールしてきた。その成果で、我が国での研究参画する施設が一施設増加した(香川大学医学部附属病院)。多施設共同研究の形で定期的研究会議を開催しつつ情報交換しながら研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に本研究費を用いた臨床計測を継続し臨床データーを蓄積している。研究参加施設が増え他施設での成果を交換しながらの全国規模の共同研究に発展しつつある。基礎実験の成果も発表され本手法の有用性を指示する基礎的データも蓄積された。
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今後の研究の推進方策 |
臨床計測を本研究費の使用のもとに継続する。病理学的所見との対比を確実に行うため手術前の患者には原則として本研究への参加を呼びかけることとする。臨床計測対象を全脳腫瘍に広げて研究参加者を募る予定である。 基礎研究では急性期炎症実験結果が出版されたことを踏まえ慢性期炎症に対しての実験を行うことを計画している。
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